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April 13, 2006

現場の前の心理学者(再掲+) 

2004.11.03 現場の前の心理学者  
 「現場から求められる大学の心理学教育とは」が先日の北陸心理学会でのシンポジウム。その中で気になったのは、心理学を目指して大学に訪れる大学生、あるいは自己の問題を解決するために心理学の大学院を目指した社会人、そのほかかなりの人が、「現場で使える心理学を学びたい」と思い、反対に、アカデミックな心理学を見て落胆することが多いという事実。実はこの現象、既に使い古されているというか、今に始まった話ではない。にもかかわらずホットなトピックであるのは、そうした人が心理学にいつまでも押し寄せるということを意味している。
 研究者によっては、アカデミックな心理学とポップな心理学を分けようといったり、基礎研究と実践研究をモード1・モード2と分けて考えようといった「モード論」を展開したり、それなりに答えを見つけようとしているが、何せそういう「難しいこと」を考えたくない「一般の心理学愛好家」も多いので、解決にはつながらない。

 その中で、ある臨床家さんが「現場と大学で学んだ知識を『つなぐ』作業」の重要さを指摘していた。これが結構大事なことだと思うしかし、そう簡単な問題でもない。これは学生からの質問でも、企業人からの要望でも良くあるのだが、『この現象って心理学で説明できますか?」「これこれの現象を心理学で分析してください」というもの。不思議な現象や不可解な問題について、心理学なら応えてくれそう。というものである。ここに「つなぐ作業」があるのだが、その作業は難解を極める。
 「心理学は『打ち出の小槌』ではない」というのがその時の私の主張。成立からまだ130年程しか経っていない学問ですから、そうそう何でも分かるというわけではない。手軽な「説明機械」として心理学に期待されるのは、やはり応えようがない。
 とはいえ、事件や問題が起きると、結構イージーに「解説」をする心理学者も少なくないのが事実。あれはどこかで取り締まれないものか。あと、心理学者ではなく、「精神分析系の医師」が答えているのも困る。理論とデータによる確証の乏しい話を、さも真理のように話すのは、背信的であるとすら思う。反対に考えると、理論さえあれば現場は説明できるというナイーブな信念が強いということか。

 ともかく,「現場の心理学者」としては,自らのスキルとノウハウをできる限り有効に提供するのが,一番の貢献かとも思う。「心理屋として,一番『心理学らしいもの』をお手元に」。心理学の名を借りたまがい物を売りつけないことが大事。

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Comments

大変参考になりました。
心理学を勉強すると人の心の中が分かるようになるという思い込みが世間にあるのも、特に青少年の犯罪の解説や心霊現象の説明にまで、心理学者がマスコミに登場するからなのでしょうか。
私のように研究以外の目的で大学院を希望するものも、本来は大学院という制度の趣旨に合わないのだと思います。
それで真剣に考えました。アカデミックな学問には不向きとも思いますが、問題意識を持って心理学と関わっていきたいです。PCが人と人を変え、社会構造を変え、そのことが人の意識にどう影響しているのか・・・そんな問題です・・。
しかし、数値化してデータ処理できる問題にどう還元できるかは分かりませんが。
長々コメントいたしましてすいませんでした

Posted by: LaLa | April 14, 2006 01:53 PM

>心理学を勉強すると人の心の中が分かるようになるという思い込みが世間にあるのも、特に青少年の犯罪の解説や心霊現象の説明にまで、心理学者がマスコミに登場するからなのでしょうか。
それは必ずしも正しくないでしょう,たとえ心霊現象の説明であっても,心理学者は「比較的まともなこと」を言っているはずですから。それにしても誤解されるのは,見る側の「欲しい情報のみに反応する」ところにも問題があります。要は,伝える側がそれをどのくらい意識しているか,また正しい情報の伝達に成功しているかによるのではないでしょうか。

だから
>PCが人と人を変え、社会構造を変え、そのことが人の意識にどう影響しているのか・・・そんな問題です・・。
このタイプの問題を,単なる問題意識から突き詰めようとすることも必ずしも良いわけではないのです。心理学研究の文脈から離れて,「自分の思うところ」で話をすることがそもそも「ガン」なのですから。

ではどうすればよいか,といわれれば,これ自体私に答がないからブログのような「ぼやき」になるわけです。難しいですね。

Posted by: nikata | April 14, 2006 08:48 PM

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