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September 30, 2006

カツ丼学概論 第2講「カツ丼の基本的概念」

あくまで言っておきますが「ペダンティックなシャレ」ですから。

第2講「カツ丼の基本的概念」 ー カツ丼のバリエーション ー

 カツ丼(本講義においては「卵とじ形式」のもの)は、その構成要素及び体裁によってある程度多様なバリエーションを持つ。これは他の食品においても同様であるが、しかし著名なメニューであるカツ丼ではあるが、その多様性はラーメンやチャーハン、あるいはカレーライスの持つ多様性との比較においては、圧倒的に小さな領域に限定されている。これまでの研究(荷方,1996)において、カツ丼は以下のように定義される。


カツ丼(普通名詞):丼に盛られた米飯の上に、豚肉をパン粉で揚げたもの、すなわちトンカツに卵とつゆを使用してとじられたものを乗せた食品・料理。

 この定義によっても、カツ丼の存在を決定付ける要素は、トンカツ・米飯・卵・だしの4つであることが分かる。また食器として丼を使用することも、名称としての「カツ丼」を明確にする上で重要である。
 しかし詳細にカツ丼の構成要素を検討する場合、カツ丼の要素は次の要素に従うと考えられる。

1)食器
2)トンカツ
3)米飯
4)卵
5)つゆ(だし・だし汁などの別名あり)
6)野菜類
7)その他
 このように、6・7のカテゴリーが新たに追加される。このカテゴリーは、基本的な構成要素としてカツ丼に通常内包されているが、その多様性・可変性から必要条件とは認められないと一般に考えられている。本日はこの5つのカテゴリーという観点から講義を行う。

1)食器類 
 カツ丼には通常、丼が使用される。丼は直径15cm〜30cm、深さ10cm〜20cmの陶器もしくは漆器、あるいは漆器様の塗装がされた木椀・ポリマー系椀が使用される。丼はしばしばこのサイズ外になる場合があるが、この場合名称はミニカツ丼や特製大盛カツ丼など、サイズが一般的な定義から外れる旨の名称が与えられることが多い。また漆器椀のバリエーションとして重箱、あるいは陶器製の皿が使用されることがあるが、前者はカツ重、後者は米飯を別に用意してカツ煮定食・カツとじ定食・あたま定食などの別名が与えられる場合が多い。これらは厳格な意味でのカツ丼ではないが、その形態において多くの食者に同様のものと理解されているので、同様に扱うのが適当であると思われる。

2)トンカツ
 豚肉にパン粉をつけて揚げたものの総称がトンカツである。多くの場合豚肉にはロース・肩ロース肉が使用されるが、安価な場合バラ肉などを使用することも少なくない。ヒレ肉が使用される場合、特にこれはヒレカツ丼と呼ばれる。これは風味・価格に若干の差異が見られるため、カツ丼の認知的な意味・感化的内包の差異を伴う研究では、しばしばカツ丼の亜種として見なされることもある。また肉は多くの場合、それぞれの部位のブロックを適当に切り分けた場合が多いが、稀なケースとして薄切り肉を重ねたものが使用されることがある。これは安価なカツ丼に見られるが、ヒレカツ丼に比べその認知的なイメージに異なりはそれほど見られない。これらの肉に溶き卵・小麦粉などをつけ、これにパン粉をつけて原型を作り、サラダ油・ラード・ゴマ油などの油脂を使用して揚げたものがトンカツである。これをカツ丼に加工する場合には4〜8程度の肉片に切り分けて使用することが多い。

3)米飯
 丼ものとしての機能を与えるために、丼には米飯が入れられ、この上部に調理部分を乗せる。米飯はほぼジャポニカ種のうるち米が使用される。通常のカツ丼の場合150CC〜300CCの容積の米が1人前に使用される。

4)卵
 卵は通常溶いて具材とつゆの上に投入され、半熟から固形状に凝固するまで熱せられる。通常鶏卵が使用され、ウズラ・ハト・アヒル・ダチョウなどの卵や魚卵が使用された例は報告されていない。一人前あたり1個ないしは2個の鶏卵が使用される。

5)つゆ
 つゆはここでは水に動植物のアミノ酸を煮出しただしに、醤油・塩などを添加してだし汁にしたものをさす。だしには非常に多くのバリエーションがあるが、有名なものとして鰹節・サバ節・昆布・煮干・シイタケなどを使用したものがある。これらを単数・あるいは複数使用して各調理者はだしをとっている。このとき前回の授業で紹介した蕎麦屋は、基本的に蕎麦のつゆと同じものを使用することが多いため、鰹やサバの枯節と昆布などで制作する場合が多い。また近年は醤油メーカーなどからアミノ酸を配合したいわゆる「だしつゆ」が販売され、これを使用する調理者も少なくない。ちなみにブイヨン・中華系のスープはカツ丼の風味を著しく壊す(筆者は二度と食べたくないと思った)ので、ほとんど使用されない。しかし稀にラーメン屋のカツ丼に、鶏ガラとおぼしき成分が感じられることがある。このだしに醤油・塩などの塩分を加えたものを通常つゆとよんでいる。

6)野菜類
 カツ丼に使用される野菜は1)タマネギなどの具材系、2)三つ葉などの飾り系に大別される。前者は調理において当初から煮込まれるもので、タマネギ・ネギ、ごくまれにニンジンが見られる。これに対して後者は、香り付け・飾りなどの目的で使用される。この系統には三つ葉・ネギ(香り付け)、グリーンピース・青のり(飾り)、ホウレンソウなどの青菜(飾り・具材系)など比較的多くの種類が見られる。

7)その他
 その他使用される食材として、胡椒(肉の香辛料)・唐辛子(完成したものに添加する、蕎麦屋でしばしば見られる)などの香辛料が挙げられる。

 今回の講義はここまで。次回はその調理法について解説する。

(課題)その他カツ丼に見られる食材があれば報告せよ。報告のあった場合、評価に加味する。

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