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September 28, 2006

「ラ・ボエーム」 を聴く

そういえば,旧ページにはこういうレビューもあったので,付け加えておく。

ソフィア国立歌劇場「ラ・ボエーム」  2002.12.10 金沢市観光会館

指揮者     ゲオルギ・ノテフ
ミミ       ツヴァテリーナ・ヴァミレヴァ
ロドルフォ   イヴァン・モミロフ
ムゼッタ    スネジャーナ・ドラムチェヴァ
マルチェルロ  アレクサンドル・クルヌフ
ショナール   ストヤン・バラバノフ
コルリーネ   ディミター・スターチェフ
ブノア     ストイル・ゲオルギエフ(アルチンドロと2役)
パルピニョール  エブティム・ボヤノフ
税関吏     ゲオルギ・デュコフ
軍曹      デシイスラフ・ポポフ

 プッチーニの最高傑作が「トスカ」だというのなら、最も親しまれる作品は「ボエーム」かもしれない。これに「蝶々夫人」を加えると、プッチーニの三大作品といえる。余談だが、私はこの作品、一方ならぬ思い入れがある。私自身何度かオペラを経験しているが、このボエームが最も出演回数の多いオペラである。1990年の熊本シティオペラ公演を皮切りに、1993年の再演など、心に残る作品である。

 いきなりえげつない話だが、A席で1万円、S席でも1万4千円のオペラなんて、早々あるものではない。二期会だって藤原だって、軽く超えることはざらである。金沢市観光会館40周年記念は、とてもありがたい企画をしてくれた。

 さて、決して有名とはいえない本歌劇場の公演であるが、予想以上にまとまりのよい演奏であった。主役のロドルフォ以下、多くのソリストが20代後半から30代。声はみんな若々しく張りがある。ロドルフォのノテフは美しい高音を聞かせるが、個人的には少し喉にひっかかった声質が気にはなった。八奈見乗児(タイムボカンシリーズでおなじみの声優)にやや似た声質は、胸より上で響かせている。哲学者コルリーネのバラバノフは深く豊かな低音を聞かせ、男性陣の中では特に光っていた。女性はミミもムゼッタもなかなか素晴らしい、ミミ役のヴァミレヴァはカルロ・ベルゴンツイが師匠、師匠の雰囲気を如実に示す伸びのあるソプラノ、しかしそれだけでなく低音部の方が丁寧な歌いこみで、よく出来た歌唱であった。ムゼッタ役のドラムチェヴァは「当たり役」なのではなかろうかと思うほどの歌唱である。プログラムによるといわゆるコロラトゥーラであり、ムゼッタとは少しイメージが合わないかとも思われたが、実際には驚くほど「スレた」雰囲気を見せることが出来ている。声のコントロールや伸び、少しやんちゃそうに見えるその細身の容姿まで、イメージどおりのムゼッタそのもの。今回のソリスト陣の中では最も技術的な巧みさを感じた。

 指揮のノテフは老練で、ほとんど狂いのない伴奏をしている。合唱はやや男性の弱さが気になり、さらに二幕の児童合唱も女性で代わるという部分はあったが、ほとんど気にはならない程度だったろう。オケも管楽器が時折ばたつくこともあったが、それに余りある弦の正確さ。ほぼ固定したメンバーで演奏をすることによる息のあった演技も、日本ではなかなか見ることが出来ない特徴である。合唱団の演技すら細かいところまでよく指示が行き届いており、演出家の丁寧さが感じられた。舞台装置については多くの人が予想するとおりの装置であった。

 金沢はこの冬初めてのまとまった雪、公演後の町は、アンフェールの関門を彷彿とさせ、時期はまさにクリスマス。カフェ・モミュスの喧騒そのままの風景である。時期も環境もバッチリふさわしい中での本公演、細かいことは言わず、心から楽しめたことを白状しておきたい。

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