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September 27, 2006

先生のスタイル(再掲)

先生になって14年ほど。もうこのころの倍近く先生をしています。このころより「スタイル」にはこだわらなくなりました。逆に言えば,このころ以上に,スタイルを自由に扱えるようになったともいえるでしょう。

先生のスタイル(初出:1999年頃)

 教育産業で講師を始めて、もう7年近くがたちます。面倒をみた高3や中3の数は、すでに500を優に超し、今では大学で卒論を書いた子さえいる様になってしまいました。やだなあと思いながら、何となく自分の年を指で数えてみたりもするのです。とはいえ、10年も遡れば、自分だって同じような「生徒」だったのです。

 小・中・高(あるいは予備校)と、多くの先生の「学習指導」を受けてきました。あいついつも面白れえよなあ、とか。体育の○○、また怒鳴ってるよ、脳まで筋肉じゃねえの。とか、それはそれで色々いたわけです。フレンドリーな先生、奥ゆかしい先生、受験産業講師型教師、いわゆる「熱血」型教師。それぞれのスタイルで、それが良かったり悪かったり。今の「講師」としての自分の授業をみても、この言い方は○○先生のパクリ。このネタは△△先生のやつ。ある意味自分の先生の「コピー」だったりするんですな。

 でも良く考えてみると不思議なこともなるのです。たしかに厳格な先生から熱血教師まで、その先生にはその先生の「スタイル」というものが一つあるのですが、二つも三つも、というとこれがいないんですね。

 いてもいいんです。あいつ普段はクールなくせに、行事の前は熱血になって盛り上げる、とか。いつもギャグばかりの面白い先生なのに、肝心なときは代ゼミばりのびしっとした授業で、私語一つ許さない、とか。でもいないのです。どうやら、教師というのは自分の「スタイル」をいったん確立すると、あとはそれを割と守る傾向にあるのですね。もちろん何十年という中で、角が取れた先生とかはいるのでしょうが、一度にいくつものスタイルを使い分ける。というのはなかなかないものです。

 じゃあそれは出来ないのかというと、出来ないわけでもない。可能ではあるのです。そしてそれができることは、教師としては随分なメリットにもなるのです。

 一年とか三年とか言う長いスパンでカリキュラムを進めていくと、経験的に「指導が簡単な」ものと、「難しい」ものが出てきます。たとえば大学で経済を専攻した社会の先生はどうしても公民分野の方が得意で、地歴は努力が...というケースもありますし、自分は社会は好きだったけれど、地理だけが高校で選択すらしてないからそれほど詳しくはない(普通文系は社会は2つまで選択で、多くの社会の先生はこの高校生の時期までの知識をベースにしている)、というケースもあります。あるいは国語の場合、漢字の指導は難しくないし、読解だって元文学青年だったから大丈夫、でも文法となると...という感じで、先生だってこれだけは得意ではなかったりもします。要は先生だって生徒が思うほど、「神様」のようには分かってはいないのです。

 このとき、指導の技術として、スタイルを使い分けることは効果があります。得意分野やそれほど理解に困難さのない所は、面白く・騒いで・生徒とフレンドリーな授業を進める。結果、教師と生徒の心理的な距離は近づき、生徒との信頼感を気づく良い機会となります。また一方で、理解が難しい領域・落としてはいけない所などは、クールで・統率的・厳格な授業を。生徒の理解がきちんと出来れば、またある意味で先生に対する信頼が獲得できるものです。

 生徒にとってみれば、優しい先生も、受験の神様のような先生も、「イイ先生」では変わりがないのですね。だったら、教師の側だって授業や指導の流れにそって、上手く使い分ければいいのでしょうけれど。なかなかそれをやる先生が少ないというのは、実に不思議です。

 じゃあお前はどうなのかと言われると、ええ、やってます。効果もあります。ただ生徒にしてみれば、いろいろ変化するちょっと変わった先生と言われてるだけかも知れません。ひょっとすると生徒にとって、先生のスタイルというものはゲシュタルト的な一特性として見えるかもしれない。その点については、もう少し研究がいるかも知れませんね。

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