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October 19, 2006

レディネスと発達の最近接領域

荷方の教育実践知識 1999年8月

「レディネスと発達の最近接領域(8月号)」 

 今月はちょっと長めの「集中講義」です。
 どんなに上手な先生であっても、小学一年生に二次方程式の指導をするのはまず不可能です。なぜなら一年生にはまだ、二次方程式を理解するだけの数についての理解・論理的な思考の理解ができていない。つまり学習に必要な準備が出来ていないからです。このように「そろそろ分かるんだけど、まだ準備中ね」という状態を「レディネス(readiness)期」といいます。

 逆にどんなに指導しても、レディネス期でなければ無駄なわけです。しばしば低学年の生徒に、高学年の子が知っているような発展した方法、あるいは少し大人的な発想の内容を指導する先生がいますが、意外と定着しないものです。注意したいところです。
 さて、このレディネスはこれまで比較的固定的で、また決まった順序を持っていると考えられてきました。しかし子供によっては、同年代よりずっと早い子もいます。これはどういうことでしょうか。
 ヴィゴツキーというロシアの学者は、このレディネスを「発達の最近接領域」つまり次に発達する内容ということばで定義しました。彼の理論では、この領域は固定的ではなく、子供の日常の活動に応じて、また周りの環境によって作られるとされています。つまり子供に対して獲得しやすい知識を用意して、順序よく教えれば、レディネス期を意図的に早めることが出来ることも可能です。
 一年・あるいはもっと長いスパンを想定して、生徒達を少しずつ「先走らせる」ことは可能です。講師はその子が現在持っている「最近接領域」を発見し、引き出すようにすればよいでしょう。特に個別クラスの子供のような場合、その子の現在の能力だけでなく、「今の時点で、どこまではまだいけそうか」という点をはっきりつかむことは、大切かと思います。

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