« 学級の社会的構造(12月号) | Main | 少女マンガ読み? »

October 25, 2006

それは「ダメ教師」の問題か?

 各県の高等学校で,必修の世界史を実際には履修させていなかったという問題が上がっている。特に進学校の理系を中心に,「受験に必要な教科」だけを集中的に学ばせようとしていたということだろう。事の是非をいうなら,指導要領の遵守義務違反であるし,また高校教育の本質(十分かつ幅広い内容の指導を行う)という意味でも論外である。
 で,最近のいじめ問題で学校教育に強い批判を与えているマスコミが,こぞって取り上げていた。ある局では「またダメ教師」という見出しで随分な批判をしていたが,事の本質はそういうことではないことに気づかないかなあ。

 この問題の核になるのは,「受験に必要な教科」だけを集中的に学ばせようとした学校の姿勢であり,この姿勢を後押ししたのは,大学の合格者を増やすとか,無駄な勉強をせずに集中したいとか,有形無形の「ニーズ」があったことにある。そしてそのニーズはしばしば,「学校以外」から発せられていることを見て取る必要があるだろう。メリットがあるなら,多少ダーティーな部分があっても,ばれない限りやろう。この視点は,批判を与えている当のマスコミにもあるだろうに。アナロジーとしては
 学校(大学受験重視,必要悪,ダーティーな操作)
 マスコミ(視聴率重視,必要悪,ダーティーな制作方針) こんな対応づけの関係か。
 問題は問題として改めねばならないが,妙な喧伝をしても何もならないことは分かってもらえないものか。このタイプの問題は,教員自体の問題としては取り扱えない「より制度的」な話である。そしてその制度というのは,学校制度だけの問題ではなく,社会制度まで巻き込んだ問題である。

 本当の問題はこれにとどまらない。世界史+日本史・地理でほとんど受験が可能なことを逆手にとって,公民科の倫理や政治経済の履修ができない,あるいは履修しにくい制度を持つ高校もいくらでもあるし,地理の教員が著しく少ない都道府県もある(要は世界史と日本史が「必須」になってしまう)。主要3教科,あるいは英数だけに目の向いた高校など,いくらでもあるのだ。これは大学の入試制度にも問題がある。また英数以外の学習の意義をあまり理解しない人も多くいる(芸術教科など無駄という主張は少なくない)。プラクティカルな部分だけを見て,教育の本質である全人格的な発達を促すというテーゼが無視されがちであるということをより見るべきではないか。
 個人的には,この事件をきっかけに,なぜそれぞれの教科が設定されているかについて,多くの人がより考えてくれることを願う。もちろん,私もうんと考えることにする。

|

« 学級の社会的構造(12月号) | Main | 少女マンガ読み? »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92639/12428839

Listed below are links to weblogs that reference それは「ダメ教師」の問題か?:

« 学級の社会的構造(12月号) | Main | 少女マンガ読み? »