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March 16, 2007

電子メールはなぜ「メール」

 頼まれものの原稿(教科書)を書いている。アナロジーを説明しようとおもい,何か良い例がないかなあと考えていたら,「電子メール」に行き着いた。確かに,この名前,不思議である。
 実際には携帯電話に代表される「電話」のような通信手段である。なぜ電話で文字を送るのに,「文字電話」にならなかったのだろう?恐らく答は簡単で,電子メールを書くという行為は明らかに電話のイメージではなく,手紙を書くことに類似しており,手紙のアナロジーとしてこの名前が付いたのだろうと思われる。
 複数の競合するベース領域が存在する時,どの領域を選択するかについては多くの研究があり,より類似性の高い方を選択したり,あるいは表面的に類似する方を選択したりといくつもの知見がある。この電子メールの例の場合,われわれはどうやって手紙の方が似ていると推論したのだろうか?おそらく通信方法といった「込み入った・熟知度の低い」情報より,「手紙を書く」という情報の方がずっと利用しやすかったという点にあると思われる。

 これは面白そうだね。ある新しい領域に直面した時,複数の既有領域に対して結びつけることが出来るリンクがある。一方は利用しにくい情報の領域に複数のリンク,他方はよく知った情報1つにリンクという時に,利用可能性の高い情報にリンクされたベース領域を選択するとしたら,類似性判断の様相ももっと豊かになるような気がする。何か良い実験が思いつかないものかなあと思う。
 このアイディア,「どの主題を想起させるか(Spellman & Holyoak. 1995)」といった方法によって,検索と写像をコントロールする実験に似ている。

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Comments

私も同じようなこと考えています。私は、「遠隔対話環境」くらいに対象を広げて、何が類似性を規定しているのか、少しボトムアップ的に調べてみようと思っています。何年か前から思っていながら全くやっていませんが。

Posted by: しまだひであき | March 19, 2007 at 12:18 AM

しまだくんへ
何が類似性を規定しているのかは難しいですね。
東大の岡田先生は,人間が「類似」というよりも「2つの間の差異」に気づくことが結果として転移のもとになっているといった指摘もしています。リンクの強度を与えるさまざまな要素をいうのをたくさん調べてみることになるのかな,と思ったりもします。

Posted by: nikata | March 23, 2007 at 10:26 PM

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