トゥーランガリラの朝
自宅研究日の朝,鈍重な身体をのしのしとさせて二階へ.ふとBSをつけると,N響の定期が始まるところ.いきなりメシアンのトゥーランガリラ交響曲が始まる.朝から官能的・陶酔的な音の重層に圧倒される.明るい初秋の陽光と,雨降りの翌日のウェットな空気がその濃密さをいかんなく増幅する.午後の仕事のためにちょっとやりたいこともあったが,こうなるともう80分逃げられない.
準・メルクルの指揮はほんの少しゆっくりで,一つ一つの音をきちんと鳴らしきるもの.長いことミュンフン盤になれた耳には,新しい発見をいくつも示してくれた.途中何度も鳥肌が立つ.
やっぱりBSもつけて良かった.せっかくなら録画もしたかったが,BS放送は再放送がないらしく,本当にコンサートのようなものだ.40インチの画面で見ると,ちょうど2階席から見るくらいにみえて,それも何ともリアルでよい.
そういえば初めて聴いたのは高校3年の冬.当時新しかったチョン・ミュンフン盤を聴きながら大学入試の新幹線に乗ったときである.当時8時間以上かかった熊本と東京の車中,きちんと勉強もしたかったのだが,いきなり襲う音の洪水にカタルシスを起こしてしまい,勉強どころではなかったのを良く覚えている(それで私立に思いっきり落ちてしまう...).考えてみればそれ以来,どっちかという私の人生は,濃密で不安定で舞い上がったり押しすくめられたり大音量だったり停滞したりである.

Comments