アイゼンク教授の「心理学ハンドブック」
昨年の秋にでた大著。心理学の基礎から応用,実践まで幅広い記述がある「総合書」である。これまでボリュームたっぷりの内容がある心理学の本と言えば
・Introduction to Psychology
(日本では「ヒルガードの心理学」でお馴染み。アメリカでは標準的な心理学の教科書だが,非常に充実した内容をもつ。)
・有斐閣ニューリベラルアーツセレクション「心理学」
(こちらは日本人の手によるもの,これもコンパクトな中にかなりの内容が盛り込まれている。)
心理学教育に携わる者とすれば,この2冊くらいは心理学科の学生の「基本図書」にしても良いなあと思っていた。今回その中に,強い意志と確信を持って本書を加えて良いと思う。学問として,サイエンスとしての心理学の位置づけのありかたまで,きちんと考えることができるようになっている。
ちなみに,この本は私のような「不勉強な」心理学の教員にも必携といえるだろう。元となる本の出版は2000年なので,それでも「10年は前」の内容なのだが,それでも十分なだけの新たな知識が加えられている。心理学概論をはじめとする概論系の講義を1人で担当しなければならない場合,どうしても新しい動向や知見の把握には手薄になるところができてしまう。各回の講義には,せめてこの本にある比較的新しい知見のいくつかくらいは盛り込まれるようにしたいものである。
アイゼンク先生といえば,これまでも「認知心理学事典」や「認知心理学(アイゼンク・キーン編)」などの名著を世に出した学者として知られている。ある意味,これがその集大成の1つとなるだろう。心理学という言葉に少しでも関わりのある者にとって,この本は座右に置くべき本だと思う。
(ちなみに,私本書の編集・執筆その他には一切関与していません。あしからず)
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Comments
私の学部時代の指導教員(そういえば助手時代もボスだった気がしますがあまりその自覚がない)が出版に携わっておりました.後輩も翻訳に参画しておりましたが,随分時間がかかったプロジェクトだったようです.陽の目を見てよかったです.もちろん,私も買いました.
Posted by: asarin | January 23, 2009 03:44 PM
>asarin せんせ
なるほど,やはり随分ご苦労のプロジェクトだったのですね。納得です。そもそも英語が恐ろしく不得手な私は,あの写経のような営み(それでもその営みを繰り返しているのですが)を注意深く行って出版まで漕ぎつける人を心から尊敬します(私も○善の辞典でやったのですが,本当に大変だった)。
Posted by: nikata | January 23, 2009 04:48 PM