« 環状紅斑なんだそうな | Main | 学会初日 »

August 25, 2010

これをレポートに使うのは有効そうだ

 先日から途端に活気づいている「ホメオパシー」関連の話題。面倒を避けるため敢えてリンクは張らないが,「科学的」な根拠を謳っているようで,随所にいくつもの面白いところがある。ページのコンテンツ自体も豊富なので,以下のような誤謬を探させる課題を学生に課すと,実に良い勉強となろう。

(例)水で薄めた物質なので,原成分が残っていないという解説
「100倍希釈を30回繰り返した場合、10の60乗倍希釈となり、原成分はほぼ残っていないのではなく、1分子も全く、残っていません。」
→たとえ残っていない可能性があるとしても,もともと成分が含まれている試料を希釈したならば,「偶然」原成分が残っているサンプルを選択した場合,やはり1分子は残ることになる。

(例2)
「ハーネマンは病気に対するホメオパシー治療を記事にして発行し、始めの段階ではカンファ(樟脳)を、後の段階ではキュープロム(銅)、バレチュームアルバム(シロバイケイソウ)、ブライオニア(シロブリオニア根) 、ラストックス(蔦漆)を使用するよう提唱した。
また「あらゆる感染原因」を破壊するために衣服やベッドを熱処理すべきこと、そして清潔さ、換気、部屋の殺菌、隔離を力説した。
 細菌のパストゥールや殺菌のリスターに先立ち、これは著しい先見の明のある忠告である。ヨーロッパ中でホメオパシーによって流行病はより良い結果で治療された。
 伝統的正統派治療の死亡率が50%かそれ以上だったのに対し、ホメオパシーでは2.4~21%に変化したのである。」
→少なくとも,死亡率の低下は「衛生環境の向上」という知見によって説明ができ,前段の治療は「混交」と説明されること。

 科学的思考とか批判的思考とか,そういうもののトレーニングにはとても向いています。さすがに心理系の教育を受けた人はまず近づかないのでは,と思ったのだが。

 いや,手法を採用している臨床心理士もいるのか... あえてリンクも張らないけれど...

|

« 環状紅斑なんだそうな | Main | 学会初日 »

Comments

我々、化学者に言わせれば、元々、普通の水にはいろいろな水以外のものが含まれているので1分子のサンプルだったとしても、おそらく、ほかのものがいっぱい入っている、と解釈をします。そもそも、蒸留水にも実はいろいろなものが入っていて、ppbはおろか、ppm程度でもそれよりもさらに精製された水でないとだめだとか、よくある話です。

また、昔、哲学の授業でこういうたとえがありました。おとといの晩、ビールをたくさん飲んでからオレンジジュースを飲んで寝たら昨日の朝、頭が痛かった。昨日の晩、ウィスキーをたくさん飲んでからその後にオレンジジュースを飲んで寝たら今朝、頭が痛かった。したがって、オレンジジュースが頭痛を起こす、と。ようは、よく考えずに結論を出すな、ということでしたが、それにも近いものがここにもあるような。

それにしても、どうして世の中の人たちはこういう擬似化学が好きなのでしょうねぇ。

Posted by: 二郎 | August 25, 2010 at 08:34 PM

>二郎さん
 お久しぶりです。いや,仰るとおりでして,われわれが飲む水なんて,不純物の宝庫ですよね(健康に有用なミネラルも含み)。たとえ純水でも「純」では無いですよね。

>それにしても、どうして世の中の人たちはこういう擬似化学が好きなのでしょうねぇ。

 現実(科学)は当たり前すぎて面白くはないし,シンプルな結論ではない(常に反証可能性が担保されている)ので,胸がすっきりとしないでしょうしね。
 全知全能の神が信仰されるのと同じく,疑似科学はしばしば全知全能の振る舞いをします。それがとてつもない魅力であるのは,私とて理解できます。

 ちなみに,二郎さんが聞いた哲学の例,私は研究の方法論の講義で学びました。その時は,色々なお酒をソーダで割った結果,常に二日酔いだったので,ソーダ水が二日酔いの原因とされるものでした。

 最近のジョークではこんなものも有名ですね。

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
類似のジョークとして「パンは危険な食べ物」というものがある。以下の説明はパンの説明として誤ったことは言っていないが、パンは危険な食べ物という印象を与える。
・犯罪者の98%はパンを食べている。
・パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下である。
・暴力的犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている。
・パンは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はパンと水を与え、後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにパンを異常にほしがる。
・新生児にパンを与えると、のどをつまらせて苦しがる。
・18世紀、どの家も各自でパンを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった。
・パンを食べるアメリカ人のほとんどは、重大な科学的事実と無意味な統計の区別がつかない。

Posted by: nikata | August 25, 2010 at 09:16 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92639/49247728

Listed below are links to weblogs that reference これをレポートに使うのは有効そうだ:

» ホメオパシーについてひとこと言いたい [サプリスト(サプリメントの正しい知識と選び方)]
今日、仕事中に薬局に送られてくるFAXに、日本薬剤師会の会長がホメオパシーについて云々・・というのがあったので、今日はそれについてちょっと書いてみます。そもそもホメオパシーとは?ウィキペディアから引用すると・・「ホメオパシー (Homeopathy, Homoeopathy, Hom��opathy) とは、「極度に稀釈した成分を投与することによって体の自然治癒力を引き出す」という思想に基づいて、病気の治癒�... [Read More]

Tracked on September 01, 2010 at 11:44 PM

« 環状紅斑なんだそうな | Main | 学会初日 »