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March 15, 2011

リソース(資源)はどこにでもある

 次第に深刻な状況が明らかになっていく震災。もはやこれは戦時下と同じ「非常時」だといって差し支え無いだろう。非常時にもかかわらず朝から仕事に行く東京の人を見て,彼らだって被災者の一人だろうにと感心する。いや,でも戦時だって,空襲でもなければ前線にいない都市の人々はそうだったのだろうから,やはりそういうものなのかもしれない。

 これからは,震災の与えた苦難から少しずつ人々を解き放つ方向へすすめることになる。「復興」というのは「復元」ではない。元通りにする,というより元以上の環境にすることである(興す,のだから)。瓦礫に埋もれた町は,地震にも津波にも強い町に再生しよう。壊れた橋やインフラも,100年耐えるものにしていこう。だから復興である。あるものはなんでも使うことにしたい。

 金沢に住む私は,4年前の能登半島地震を近くで見ることになった,人的被害は少なかったが,それでも多くの家が壊れた。今,朝市で有名な輪島に行くと,古きよき風情のようで,建物は新しいという,これまでとは見違える復興をしている。公的なお金だけではない,それぞれの家の主が,あるいは兄弟たちが,少しずつ無理をして金を出し合ったりして立てた家々だ。本当に「いざ」というとき,われわれはそういう事があっても少しでも困らないようにとコツコツ蓄えたお金が使われる。本当に困ると,その時の為の資源(リソース)がどこかから出てくる。今回もまた,国だけでなくあちこちから,色々な蓄えが少しずつ供出されるだろう。その時,われわれは日本の底力を知ることになるだろう。

 家を失った人々は大変だ。ましてや多くの被災地は地方だ,高齢者も多い。狭い仮設住宅で過酷な環境にいるのは良くない。さっきも言ったように,今は非常時だ。思い切って高齢者を中心とした方々は,都市へ一時「疎開」してはどうかとすら思う。今,日本中に相当の部屋が余っている。そう,60〜70年代に建てられたアパートである。東京でも,地方でも,古い公団住宅や公営住宅は,現在にあわないのであちこち空いている。高齢者だけが残っていることもしばしばと聞く。急ごしらえの仮設より,復興までのしばらくは,こういう所に身を寄せてはどうだろうか。都市は福祉も人も近い。しばらくの疎開先としてはうってつけだと思う。そして,既にあるだけ仮設をたくさん作るより安いのである。もうせっかくだから,家賃も復興までの間ならタダにしてもいいのではないかと思う。日本には,宙ぶらりんに浮いた資源は,結構あるのだ。あるものは使い倒せ。その間に,働けるものが,復興に精を出す。

 おそらく,今回の震災で,株価は下がり,円の価値は下がって,物価が上昇するという,いわゆるインフレに傾く可能性が高くなるだろう。最悪の事態のように思えるが,インフレ自体がわれわれを助けるかもしれない。例えば5年で2倍のインフレが進めば,貨幣の価値は1/2になる代わりに,国の借金も相対的に1/2になる。高度経済成長期の日本が借金をしても大変にならなかったのは,このインフレのおかげでもある。インフレが起こり,その分給与の額も上げる必要があるとき,借金だけは次第に目減りする。当然貯蓄も目減りするので,消費者は貯蓄より消費に回りやすい。結果として個人が貯めこむ資源が市場に放出されることで,経済は活性化される可能性もある。激安のほうが損だということもあるのであろ。今回の震災はその意味で,日本の状況を「昭和」に戻す力があるかもしれない。

 どこまで本当か自分でも予想しがたいが。あるものはありったけ使うという選択も時としては良いということだろう。金だけではなく,周りにいる「人」も同じ性格を持つ。復興に向けて資源を手当たり次第に使うというのは,現代のわれわれにはピンと来ないが,結構面白いものである。


 

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