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December 08, 2011

キエフ国立フィルハーモニー交響楽団 オールチャイコフスキープログラム

2011.12.07 石川県立音楽堂
指揮 ニコライ・ジャジューラ ヴァイオリン 川畠成道
演目 「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ
   ヴァイオリン協奏曲1番 (アンコール付き)
   交響曲第6番「悲愴」 
   アンコール「くるみ割り人形」より花のワルツ

 チャイコンに悲愴,聞いたそばから楽しそうなプログラム。1995年の創立で馴染みのないオケがどういう演奏をするのか興味もあって行ってみた。ソ連崩壊前後,レニングラードなどいくつものオケが往年の輝きを失い,ロシアにはちょっと遠ざかっていたところ。さて,どうなるか。
 
 最初のポロネーズから瑞々しい弦の響きに驚かされる。名門オケのような精度ではなく,豊かに鳴らされる自由な美しさ。指揮のジャジューラもかなり豊かに楽想を伝える。最初の懸念は消え,楽しみに次を待つことができる。
 協奏曲は近年ファンも多いと聞く川畠成道とのカップリング。初めて聴いたが,実にポルタメントの多い演奏である。ところどころ力みが見られる部分もあったが,個性的で意欲的なヴァイオリンである。全体的に大胆な解釈・表現が印象的で,キエフ国立フィルのもつ個性と両輪のように渡り合っている感じがした。ここでもオケの弦の美しさが際立っていた。

 今回のキエフ国立フィルは,ダイナミクスでいえばメゾフォルテからフォルテシモにかけて強音で美しさが際立ち,高音域よりも低音域でまたその魅力が感じられる。他のオケに比べてダイナミクスが一段階大きめに解釈されているようにすら感じられる。音が大きいのがいいかどうかは分かれるだろうが,「確実に弾ききる」というのは安心感と充実感をもたらす。その意味で大変に好感が持てる。ロシアの大きさというのを感じる。
 そして悲愴へ。タイトルは悲壮だが,曲は悲愴の至る所に喜びや希望を求めるような動機が見られる。第1楽章から,センチメンタルなフレーズにも力のある確信めいた落ち着きが。そのまま強奏部では勢いのある力強さが感じられる。ジャジューラはかなり大胆にテンポを揺らし,興味をひきつける。優美なチャイコフスキーがショスタコーヴィチに聞こえてしまうほどの力強さ。なかなか面白い解釈である。
 第2楽章はやや速めのテンポ,第3楽章になると8分を切ると思われる驚くべき速さ。コンチェルトで川畠がアンコールをしたので,「その分早く終わらせよう」と思いたくなるほどである。メンバーはやはりこの曲に手馴れているのだろう。これもサラリと弾ききっていた。
 そして第4楽章。これでもか!というほど感情的な解釈。もうベタベタなくらい。最近のロシアはこういう感じが強くする(昔からだな,多分)。もちろん我を失っているわけではなく,激しい感情を思い切って弾ききっている。途中何度もフェルマータがかかるなか,残響が非常に美しく残る。この音楽堂,かなり繊細な所があって残響が長く響くということも少ない。そのホールで,である。正直これ程美しい弦の残響を初めて聴いた。
 強く,優艷で,分厚い。オーケストラはこうあって欲しいという私の好みにはかなりストライクなオーケストラである。満足した,そして楽しかった。
 

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