March 30, 2009

新著出来

 1年半の時間をかけた教科書ができあがる。生まれて初めての編集本であった。実際のところそれなりに骨の折れる作業で、途中いろいろ思うところはあったが、まあリリースしてしまえば後は野となれ...
 タイトルは「『使える』教育心理学」、まあ使えます。データベースを使って用語の収集もしたので、教員採用試験に出題されるような古典的な用語はほとんど網羅されています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 23, 2009

アイゼンク教授の「心理学ハンドブック」

 昨年の秋にでた大著。心理学の基礎から応用,実践まで幅広い記述がある「総合書」である。これまでボリュームたっぷりの内容がある心理学の本と言えば
・Introduction to Psychology
 (日本では「ヒルガードの心理学」でお馴染み。アメリカでは標準的な心理学の教科書だが,非常に充実した内容をもつ。)
・有斐閣ニューリベラルアーツセレクション「心理学」
 (こちらは日本人の手によるもの,これもコンパクトな中にかなりの内容が盛り込まれている。)
 心理学教育に携わる者とすれば,この2冊くらいは心理学科の学生の「基本図書」にしても良いなあと思っていた。今回その中に,強い意志と確信を持って本書を加えて良いと思う。学問として,サイエンスとしての心理学の位置づけのありかたまで,きちんと考えることができるようになっている。
 ちなみに,この本は私のような「不勉強な」心理学の教員にも必携といえるだろう。元となる本の出版は2000年なので,それでも「10年は前」の内容なのだが,それでも十分なだけの新たな知識が加えられている。心理学概論をはじめとする概論系の講義を1人で担当しなければならない場合,どうしても新しい動向や知見の把握には手薄になるところができてしまう。各回の講義には,せめてこの本にある比較的新しい知見のいくつかくらいは盛り込まれるようにしたいものである。

 アイゼンク先生といえば,これまでも「認知心理学事典」や「認知心理学(アイゼンク・キーン編)」などの名著を世に出した学者として知られている。ある意味,これがその集大成の1つとなるだろう。心理学という言葉に少しでも関わりのある者にとって,この本は座右に置くべき本だと思う。

(ちなみに,私本書の編集・執筆その他には一切関与していません。あしからず)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

December 04, 2008

結構悔しかったこと(むっちゃコア)

・最近とても気になっていたYahooオークション
 「認知心理学重要研究集1・2巻」,ずいぶん古典的にはなってきたが,認知心理学の研究結果をダイジェストした名著.その中でも何が良いといって

 著名な心理学者の写真が掲載されている!

 古典的な学者は結構教科書にもあるが,現在も現役の研究者の写真が沢山あって,見るだけでも楽しいし,授業のお供にちょっと張り込んだりもできる.ただ手元にはなく,長年ほしいと思っていた.

 それがオークションなのだから是非ほしい.どうも長いこと落札もされていなかったらしいから多分大丈夫.と,開始価格の4000円で締め切りの24時間ほど前に入札.これがいけなかった.
 どこかの誰かに4100円で落札されてしまった...だったら無理をしても高めの最高額で落札しておけば良かったかと.釣り落とした魚は大きい.
 ただ,定価よりも高い価格で買い落とすのも何となく癪ではある.調べてみると稀観本並の価格になっているものもある.というか,だ.なぜこういう本をS書房は抱えておかないのだろう.全く!
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 21, 2008

学会メモ(マニア限定,いや自分向け)

・ワークショップでいろいろふれる.今回の話から,類推において,類似性は類推を成立させる最初の処理なのではなく,最後の「決定打」となる処理なのだと考える.重要かつ未解決なのは,きっと類似性判断以外の部分に埋まっているだろう.

・稲垣先生の帰納的投射の考え方をとるとすれば,子供にとって領域AとBの転移を支える媒介項は「人」に関する知識である.どのような領域よりもあてはめが用意である.それが知識の利用可能性を支えており,時としてユーザビリティの高い知識として寄与する.
 これが大人でも,あまり進歩していないのではないかと思われる.

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 20, 2008

スペクトラムの上 in学会

・学会初日,つつがなく進む.学生の頃より研究に親しんだchengを初めて目にする.それにしても最近のchengの研究は難しい.

・学会と言えばまあ毎日飲むことになるのだが,昨晩の飲みは少し年上のグループの方と.初めて同席する先生は自閉症研究のエキスパート.最近は自閉症やその隣接タイプの障害をひとくくりにして「自閉症スペクトラム」と呼ぶ先生も多い.
 話が私に及び,これまでの来し方をつらつら話していたら,先生に私はほぼスペクトラムの上,おそらくはアスペルガー障害と思われる特徴を持っていると指摘してもらう.
 このブログ上でもたまに言及してきたことではあるが,専門家と意見を交換したことは初めて.それにしても社会的に(ある程度)問題のないレベルで生きてきたのではあるが,いろんな意味で自分の人と違う(ように思われる)ところを理解するひとつの切り口を得た.
 件の先生によると,「そういう人が上手く生きている一番の例かも」だそうです.本当にそう思う.小さいときには家族をはじめとする周囲に,年を取ってからは少しずつ自己の行動を調整する中で,ここ数年でようやくこれまでの生きづらさが解消されてきたところ(後は上司とこれまでの彼女にこころから感謝).良かったなあ,と,長かったなあの2つをかみしめている.

・昨晩のバーは「やまさき」へ.老舗の風格を堪能.

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 17, 2008

テスト前なんだろうねえ

 7月も後半に入り,恐らく多くの大学は試験やレポートの時期になるものと思われる。で,この時期になると我がWebのアクセスが増える。どうも心理学の用語に引っかかるらしい。その単語は何かというと。
第1位 実質陶冶と形式陶冶 Googleで検索すると,ほぼ上位5位内になる。
第2位 先行オーガナイザ  教育心理学の古典ではあるが,ネットで探すと意外に少ないらしい。
第3位 適性処遇交互作用&発達の最近接領域 

 面白い傾向が見られて良いのだが,心理学教員の私としてのコメントは
・試験orレポート頑張って下さい
・私のネットの記述を参考にしていては,碌なことはありませんよ


 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 06, 2008

パンデモニアムモデルが人気

 このブログはここのところ通常の1.5倍ほどのアクセスがある。それはそれでまあ有り難いのだが,どうしてそれだけ増えているのかイマイチつかめない。で,ここ最近の検索ワードをみてみると,なぜか上記の語で検索をかけている人が多いらしい。どうしたんだろうねえ〜

 で,私のところにはA0版のパンデモニアムモデル模写があります(学生が作ってくれた)。おそらく世界一大きな図版です。


Blog13

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 03, 2008

TOT

 泣いている顔文字ではない。TOT(Tip of Tangue:舌端現象)といって,喉まで出かかっているのに思い出さないような状況を示す記憶研究の用語である。我がお師様がここ数日これに引っかかっていらっしゃる。お教えするのは悪いと思い,ヒントだけ提供。ポイントは「アラン」なのであるが,お師様。アラン=ケイ(有名なコンピュータ研究者)の方を想起なさる。

 これはまずい,類似したノードが活性化されるとそちらの方に固着が起こり,さらにターゲットとなるノードが抑制されることになりかねない。どうもスミマセンでした。

 しかし,このTOT,どのようなメカニズムなのだろう。何らかの形で検索に抑制がかかっている状態なのだが,面白いことに肝心のノード以外の周辺表象はとても良く思い出すことが出来たりする。先生の例でいえば,同性愛者だったりある機械が知的であることを判別するテストの存在があったりは十分に思い出せるのである。単なる順向抑制や逆向抑制でないことは確かな感じもあるのだが...もし詳しい人がいたら教えて下さい。というか,レビューなどの文献があれば,それでも良いのですが。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

March 18, 2008

人生観と恋愛観と心理テスト

 読売新聞の「発言小町」というトピックで,心理テストとして紹介されていたもの。一番初めに思いついた四字熟語がその本人の人生観を示し,二つ目が恋愛観を示すというもの。ちなみに私は人生観が「臥薪嘗胆」,恋愛観が「有名無実」であった。いや,今回はそれが楽しかったという話ではなく,これがどのくらいテストとして成立するかという話。

 このように,あいまいな質問や刺激から人間の深層にある傾向(注1)を見ようというテストを「投影法」という。代表的なものとしてロールシャッハなどが知られている。また質問紙などその他のタイプのテストは(こちらの方がずっと多いのだが)もある。
 心理学では,テストを作る段階で「信頼性」と「妥当性」という2つの用件を満たすよう厳密に作られる。
・信頼性:測定によって得られた結果が安定しているか。つまり,テストを繰り返し行ったときに,ほぼ同じ結果が得られること。
・妥当性:測定しようとする目的を,どの程度正しく測定しているか。

Continue reading "人生観と恋愛観と心理テスト"

| | Comments (3) | TrackBack (0)

February 19, 2008

大人げないとは思うが

 テレビゲームを研究テーマとして扱っていると,迂闊に「ゲーム批判」に対する反論を述べてはならない気がする。しかしながらまあこういう記事にはコメントしておいた方が良いかと。

 実際はこのような記事

>「周囲の人とうまくかかわることの出来ない子どもが増えたのはテレビ漬け、ゲーム漬けになっているからです」と注意を促す講師は成田弘子さん。NPO「子どもとメディア」会員。蕨市立中央東小学校教諭。
 表情のない子、言葉の習得の遅い子、視線をあわせることの出来ない子が増えてきたと指摘。
>小学生が起こすいたましい事件の原因の一端でもあるとのこと。

 少なくとも言語習得や感情表出についての問題,あるいはその他の問題行動と,上記のメディアの関連についてははっきりとした因果関係を指摘している研究は見られないし(詳細は,荷方,2002,2008などを参照),あったとしてもその検証が必要なレベルで,この「確定的な」主張は「勇み足」と言わざるを得ない。もっと言えば,このようなメディアに長時間曝露されている多くの児童・生徒の中で,良好な発達をしている個人がいれば,それはそれで「反証」となりうるので,極端な断定は避けられたいと思う。

> 「幼児にとっては、テレビは光の明滅による刺激でしかない」と成田さん。電子音の刺激も思わぬ影響を与えるという。  「画像や電子音ばかりになじんでしまうと、人の声や、人との接触を拒むようになります」。

Continue reading "大人げないとは思うが"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 24, 2008

この棚のここからここまで全部!

 いつも立ち寄る東京駅OAZOの丸善。今回は教育心理学の教科書が欲しかった。ここのところ教科書を執筆しようともくろんでいたのである。そこで市販されている教科書の索引を集めて,索引語彙のリストを作り,共通語彙は掲載しようと。まずは丸善の棚にある教育心理学の教科書25冊を一気買い。ついでに最近興味のある消費行動に関する心理学研究の本を一気買い。そして統計関係の本をちょこちょこ。全40冊,今回もお届けでよろしく!いやぁ一度やってみたかった。
 買いも買ったり9万円あまり。来週には研究室の棚に収まることになろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 11, 2008

卒業論文の分量

 卒論の追い込みの時期になった。学生は一生懸命書いており,問題と目的とか,考察とか,それはそれは沢山書きつづっている。逆に「そんなんで良いの?」というくらい薄い論文の学生も近年はちらほら見られるようで,それはそれで大丈夫か?という話も聞く。自分を振り返れば,確か卒論は800字詰めで90ページ程度(含む図表),文章だけなら原稿用紙で100枚位を目指していたような。自分の周囲の友人も,まあ多少の差こそあれ,それなりの「厚み」がある研究を出していた。
 しかしそれぞれをよく見ると,コンテンツを増やすために本題からはかなり離れたところまで研究の概観が書かれていたり,くどくどと考察があったりすることもなきにしもあらず。そんな中で,卒論ってどのくらい書かせればいいのかはたと悩んだ。
 確かに厚いのは「頑張った」感じがするが,元はといえば1つ実験か調査をしたような程度だったりもする。無駄を省けばかなり薄くなる。 もちろん沢山の実験をして,どんなにまとめても何百ページという卒論があれば話は別だが。実際ジャーナルに掲載される論文も,大体15,000〜20,000字程度がリミットである。こう考えると,妙なもので水増しした卒論を書かせるより,ジャーナルと同じくらいの分量でもいいのではないかと思ったりもする。簡潔にして要をとらえた文章を書かせた方が,社会に出た時役に立つかもしれないし。
 確かに学生の特質を考えれば,本筋から離れても「沢山勉強をした」成果がよく見える方が,教育的でもある。だから分厚い論文を書かせる意義もあるとは思うのだろうが,逆にそれで判断するのもね〜と思う。
 ちなみに,私の修士論文。いろいろ集めると150ページ(1200字詰)に及ぶが,博士論文ではたったの十数ページに圧縮されている(それでも,ジャーナルのショートノート程度はある)。きちんとした体裁が整っていれば,分量はあまり評価しない方が良いように思う今日この頃。

 
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 09, 2008

質問紙を作りたい

 ちょっと前のエントリ(エクスペリエンス・デザイン)でも触れていたことだが,「経験価値」といった側面にもっと光を当てるのは面白そうだなあと思う今日この頃。特に,購入したモノに対してもつ満足度といったものが,個人の中のどのような経験によっているか測ることは面白いかなあと思ったりする。
 これと関係のある事柄としては「ナラティブ・ベース」という考え方があるかと思う。ナラティブとは,個人内の「物語的」な側面を指し,量的というよりも質的な世界に焦点をあてている。臨床心理学では比較的使われる概念であるが,バリバリ認知の世界でも「質的検討」といえばそれなりに通りは良いような気がする。
 さて,経験価値といった概念を測定し,さらに「個人内の物語」といった側面をどのように掘り下げるか?研究としてはそれなりに「まとまった」ものが必要かと思われる。場合によっては博士論文くらいのボリュームがあるのではないかと。

Continue reading "質問紙を作りたい"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 27, 2007

エクスペリエンス・デザイン

 昨日来ていただいた集中講義の内容の話。ノーマンが「エモーショナル・デザイン」,すなわちデザインの感性・感情的側面に言及して久しいが,デザインの現場ではエクスペリエンス・デザインなる用語が既にブレイクしつつあるようだ。
 エクスペリエンス・デザインというのは,マーケティング用語でいう「経験価値」から来ているらしく,経験価値とは商品やサービスそのものの価値ではなく,顧客がそれらを利用した経験によって得られる価値、すなわち満足や効用などをさすという。例えば(昨日の話を例に引くと),一杯のコーヒーを淹れるための豆の価格は数十円。これがスターバックスだと300円強,ホテルのスカイラウンジだと1000円でも費用を出すお客がいる。この価格差は,おそらくのところコーヒー自体の質の差ではなく,その経験をする時間・空間などの価値によって示される。なるほど,私たちは「有意義な時間」を買っているのだな。
 この構造がはっきりすれば,例えば日本車と性能はさして変わらず,故障だけは多いような舶来の自動車がどうして魅力を引きつけるかについても説明が可能となるだろう。研究があるかと調べてみたら,日経のリサーチがあるようだが,やはり心理学研究とはちょっとテイストが違うようである(そもそも主成分分析ではなくて,因子分析をするだろうし)。これは早くに着手した方が良いかもしれない研究になると思われる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 20, 2007

研修中

・今年の学生相談学会の研修はグループ・エンカウンター中心のワーク。学校で無理なくできるワークの可能性を考えている。3日目のうち昨日の1日目は,まあ順調に理解を進める(というか,これまでの自分にあまり問題がなかったことが分かる)。
 今日からもっと本格的,頭の中をリフレッシュしていこう。
・昨晩は独り呑み。宮崎の地鶏とビール。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 31, 2007

人生相談と心理相談

 新聞や雑誌に目を通せば,いわゆる「人生相談」のコーナーが沢山ある。1つ1つを眺めてみると,そおねぇ,そうだよねぇというものから,そんなこと言ってもこの相談者(正確には「来談者」)には多分伝わらないよねぇというものまである(もちろん,答える側に問題あるぞ,というものもあるのだが....)。で,答えを貰った相談者は役に立っているのだろうかと思うのだが,よくよく考えると人生相談というのは,その後どうなったか,あるいはその答えが良かったのか悪かったのかという評価が基本的に出来ないものであることに気づく。
 これは心理相談や精神療法のようなものとは,随分違うんだなあということが分かる。そもそも相談者の方も主訴とほんの少しの状況だけしか伝えないのだから,受ける側にとっても正確な見立てすら叶わないのではないのか。ましてや結果の評価なんて,ということになるのである。その意味で,いわゆるカウンセリングとは異なる。ではこの種の人生相談が役に立つとしたら,一体どういう役に立つのか?

Continue reading "人生相談と心理相談"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 08, 2006

それは類似性判断か?

 学会のワークショップ。類推にまつわる研究を聞く。発表した先生に共通していたのは,「どんな目標を達成するために,いかに類推を使おうとするか?」「類似というよりも,2つの領域の差異に気づいて,それを『つないで』いるか」という感じがした。最近感じていたのは,本当に類似性判断の高さで類推など起きているかということ。対応づけは,類似云々ではなく,対応づけられると判断してしまえばいい。極論すればもはや2つの領域で1つずつの項目が「共起」したように見えてさえ対応づけは可能なのではないかということ。
 類推は,「似ている」ことが大事なのではなく,「似ていると言い張れる」ことが大事なように思う。そうすると仮想的なベースアナログをつくることも,利用可能な知識を駆使して投入するのも,近接しているという知覚的判断が大事なのも,1つに集まっているのではないかと思われる。
 ひょっとして,自分だけが気づくのが「遅い」のだろうか?ひょっとして,類推の基本モデルとして,対比モデルなど古いモデルも含めて考えようとしたこと自体,間違いだったのではないかと混乱中。もう一回考え直してみよう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 20, 2006

論文書きとサイコセラピー

・久々論文を書いている。とりあえず体裁は整ったという感じ。あちこちの論文からの「切り貼り」も少なくないので,中身の洗練はこれから。というかまだまだかなり「タコ」ではある。先に書くべき別の論文もあるので推敲はちょっと後か。
 じゃあ何故今書いているかというと,明日のゼミで学生に見せるため,相変わらず「学生が卒論を書く前に少しずつ先回りして先生が研究を実演する」を実行している。なので,多少問題があっても,実演をしなくてはならないと言うことである。明日解説をしながら,先生自身が思い切り自分の論文の問題点を斬ってやろう。それで推敲が進めばしめたものである。その意味では,穴のある論文を授業にかけるのも,アリなのかもしれない。

Continue reading "論文書きとサイコセラピー"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

August 04, 2006

制作がレポート代わり

 今日が造形心理学のレポート提出の日。この授業のレポートは,レポートコースとワーキングコースの2つが選択できる。前者は,「心の時代」をテーマに,財団が助成をするので,授業の中身と芸術とを組み合わせて企画展示や研究の計画書を出せというもの。芸術学のような「アカデミック系」の学生はこちらを選んだりする。後者は,授業で使える「資料やパネル」を作って出してというもの。実はこちらの方がずっと選択率が高く,美大ということもあってとても素敵なパネルが出てくる。
 ことしはパネル制作が多く,来年から沢山のフリップを学生に見せられるだろう。とくに今年は,フレーザー錯視を作ってきてくれた学生がいて,これであの「濃い」やつを高々と見せられる。いつ見ても強力な錯視である。去年はハーマン・グリッドが多かった。そして「きらめき格子」を作ってくれた学生がおり,この強烈な錯視も学生の「キモイ」の連発を引き出している。
 ちなみに,これまでの最大作はB0で描かれた「パンデモニアムモデル」の模写。これはパネルにトレースされており,(ひょっとすると)世界で最も大きなデーモンが見られる。1度立命館のK先生に見せびらかしたいくらいのこのコレクション。恐らく私の人生の貴重な宝物である。そして毎年,レポートとは言いながら良いものを作ってくれる学生達に感謝している。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 18, 2006

早生まれと教育機会

小学校低学年では,出生の早い個人の方が学習その他に比較的有利とはずっと言われてきた。これがその他の要因の影響を受けた大人になってからも,残るのではという説が出された。以下は朝日新聞の記事。
----------------------------------------------------
 1~3月誕生の「早生まれ」は学歴でもわずかに不利、という統計分析を一橋大大学院の川口大司(だいじ)・助教授(労働経済学)がまとめた。4年制大学卒業の比率が、3月生まれは4月生まれより男性で3ポイント、女性で1ポイント低く、「小学校のころは成績に差が出るとされるが、それがその後の教育過程にも影響している可能性がある」という。
 総務省の就業構造基本調査(02年10月)のもとになった計100万人分のデータから、25~60歳の男女各26万人分を抽出し、生まれた月ごとの(1)4年制大学卒の比率(2)教育を受けた平均年数(高卒なら12年)を分析。抽出時の集計誤差は(1)が0.3%、(2)が0.03年程度という。
 その結果、(1)は4月生まれが男性28%、女性10%なのに対し、早生まれは男性25~26%、女性8~9%だった。(2)も4月生まれが男性12.8年、女性12.5年に対し、早生まれは男性12.6年、女性12.3年だった。
----------------------------------------------------
 100万人程度のサンプルで3ポイントならば,相当に差があると考えて良いと思うが,ちょっと調査が大雑把な気もする。せっかくなら,10年ごと辺りに区切っても一貫した結果が出る,とか。いくつかの基準で層別抽出しても,同様の結果となるのか,交互作用がでるのか。ある程度他の影響を受けていない可能性を考慮する必要はあるのかもね。
 1年という長いスパンで学年を区切ることの問題も出てくるかもしれない。1学年3クラスくらいの学校なら,4ヶ月ごとに入学を行うとか,教育のニーズ対応・個別化などの流れも考慮してみても良いかも。もちろん,そうなるとクラス替えなんてことは無くなるのだが。どちらの方が良いのか,もし検討できたら面白いのだろうね。


| | Comments (0) | TrackBack (1)

July 07, 2006

敬意を持ってKR

 心理学のゼミで,卒論を控えた学生に少し文献を読みためておいて欲しいと,コンパクトレビュー集をつくるよう勧めている。論文の書誌情報(これはその都度つくると,論文を書くときラク)とちょっとしたまとめ・レビューを書くというものである。実際にはちゃんと読み込んで,しっかりしたレビューを書いてもらいたいものだが,研究の進捗状況を確認したりするにはこれで十分である。
 どのくらいのレビューが良いかといわれたら,間違いなくこれを推す。数年前にごく局所的にセンセーションを与えた論文レビューである。実際に1人の研究者が毎回きっちりと読み込んでレビューを行ったのは立派。そして(賛否はあろうが)その質も一定の水準を保っているものと思われる。まあ私ならそういう言い回しはしないかなあという所もあるが,これはこれで書き手尊重である。
 書き方はともかく,こういうレビューが継続的になされたとしたら,初学者には良い研究の紹介として,研究者には他領域を含めた動向のチェックとして,イイと思うんだけどね。残念ながらプロジェクトは終わってしまったので仕方がない。
 ゼミの学生諸君,どうぞ参考にしてーな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 02, 2006

曲者のリビドー

 心理学の先生として,フロイトとユング(ないしはラカンでもいいが)の話をするのは大変である。何せこちらは「自然科学」のパラダイムを多分に使っている。使われる言葉(概念)はきちんと定義が出来るか,あるいはちゃんとその実在が確認できるようなものを使っている。なので「無意識」とか「リビドー」とか,あるかどうかも分からないシロモノを持ち込まれると,とても困ってしまうのである。ツチヤ学部長(土屋賢二:ツチヤ学部長の弁明,講談社)はこれを面白くおちょっくっている。

Continue reading "曲者のリビドー"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 31, 2006

求む!恋愛類型の典型例

 私が講義する心理学の概論で一番人気があるのは,「恋ごころの科学—対人社会心理学—」である。要は対人関係の各トピックと,学生の一番興味のある恋愛を絡めているのであるが,最近少々問題が出てきた。
 どの内容かというとLee(1977)の恋愛色彩理論である。恋愛を6つのタイプに分類しており,これには松井(1993)の良い解説がある。

Continue reading "求む!恋愛類型の典型例"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 22, 2006

心理学と気象学

 心理学をやっている私からすれば,心理学と気象学というのは比較的近い学問なのではないかと思う。
(心理学と気象学の類似点)
・仕事としては現象の測定と予測が主
・基本的な手法はデータの数量的な測定と質的情報の収集
・アウトプットの信頼性は確率的
・個々の事例の記述も重要なデータとなることがある
・理論から個々の現象への当てはめは,常に対応するとは限らない
・気象学者と心理学者の興味は,現象から一般性のある知見を引き出すことに向かいやすいが,
多くの人の興味は,未知の事象の予測に終始しやすい。
・臨床家と気象予報士という,学者と多くの人を繋ぐような立場の人が存在する。

 このくらいあれば,アナロジーは十分に成り立ちそうだが,多くの人にとってこのアナロジーはピンと来ないのかもしれない。それは相違点のもつ「重み」によるかもしれない。
・天気の予測に異を唱える人は少ないが,人の心的過程を予測することは「気持ちの悪い覗き見」に見えることがある。
・多くの人にとって,天気のことは分からないが,人の心は結構分かっているような気がする。

 アナロジーが成立しやすいかどうか,また納得がいくものかどうかは,この「相違点」の想起できる数にも影響を持つのではないかと思われる。対応付けの研究は多いが,相違点の見積もりの研究は少なそう。結構調べてみると面白いかもしれない。
 そして,ひょっとすると天気予報の「精度」は,人が知覚や認知の特徴に対応すると,より「高く見える」のかもしれない。人の認知傾向にフィットした天気予報には可能性があるか,ちょっと興味がある。
 だとしたら,本当は気象学に通じた心理学の専門家がいると面白いのかも。思わず気象予報士の資格でも取ってみたいと少しだけ思ったのは,きっと荒唐無稽な話だと思うけどね。でも面白そうだな,気象予報士の心理屋。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 20, 2006

どこに出せばいいの

そういえば,滞ってます。テレビゲーム研究。
実験用のソフトウェアが出来てもう1年以上経つのだが,計画的に実験が打てないというか。
で,そんなこんなしているうちに,また新しい学会が立ち上ったらしい。デジタルゲーム学会というのだそうだ。
実はこのほかにも,ゲーム学会とかシミュレーション&ゲーミング学会とかあって,それはそれであちこちに出せるは出せるのである。こういうときに重要なのは
・研究を価値あるものとして受け付けてくれるか?
日本学術会議に参加している団体か?などがある。
この中で学術会議参加団体はシミュレーション&ゲーミング学会くらいで,後は厳密に言えば学術団体としての位置づけが弱くなる。
さて,良い研究が出たらどこに出せばよいでしょう?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 25, 2006

勝手に「闇」にするな

 10代による殺人事件が「また」発生し,このタイプの犯罪にはつきものとなった「10代の心の闇」報道が繁くなされている。それと同時に,精神科医や心理学者,教育評論家のコメントが必ずといって良いほど添えられる。いい加減義憤に駆られるので,一応主張をしておきたい。
 「標準的な」心理学では,おそらく次のように考えられている。
・そもそも,人間の心がどうなっているか,直接見ることはできない。心はブラックボックスである。
・このため,その人の心の中を考えるためには,どのようなきっかけがどのような行動となったか,1つ1つ丹念にたどらなくてはならない。それには時間と労力がかかる。
・あらゆる検討を経た結果作られる,「心の動きの解釈」は,常に間違っている可能性を内包している。
 つまり,人間の心の中は初めから「闇」なのであり,これはすべての人に共通。そしてその解釈は容易ではなく,事件の発生直後になされるようなものではない。また,そういう解釈は往々にして「いい加減」になりがちである。

Continue reading "勝手に「闇」にするな"

| | Comments (1) | TrackBack (0)

April 13, 2006

現場の前の心理学者(再掲+) 

2004.11.03 現場の前の心理学者  
 「現場から求められる大学の心理学教育とは」が先日の北陸心理学会でのシンポジウム。その中で気になったのは、心理学を目指して大学に訪れる大学生、あるいは自己の問題を解決するために心理学の大学院を目指した社会人、そのほかかなりの人が、「現場で使える心理学を学びたい」と思い、反対に、アカデミックな心理学を見て落胆することが多いという事実。実はこの現象、既に使い古されているというか、今に始まった話ではない。にもかかわらずホットなトピックであるのは、そうした人が心理学にいつまでも押し寄せるということを意味している。
 研究者によっては、アカデミックな心理学とポップな心理学を分けようといったり、基礎研究と実践研究をモード1・モード2と分けて考えようといった「モード論」を展開したり、それなりに答えを見つけようとしているが、何せそういう「難しいこと」を考えたくない「一般の心理学愛好家」も多いので、解決にはつながらない。

 その中で、ある臨床家さんが「現場と大学で学んだ知識を『つなぐ』作業」の重要さを指摘していた。これが結構大事なことだと思うしかし、そう簡単な問題でもない。これは学生からの質問でも、企業人からの要望でも良くあるのだが、『この現象って心理学で説明できますか?」「これこれの現象を心理学で分析してください」というもの。不思議な現象や不可解な問題について、心理学なら応えてくれそう。というものである。ここに「つなぐ作業」があるのだが、その作業は難解を極める。
 「心理学は『打ち出の小槌』ではない」というのがその時の私の主張。成立からまだ130年程しか経っていない学問ですから、そうそう何でも分かるというわけではない。手軽な「説明機械」として心理学に期待されるのは、やはり応えようがない。
 とはいえ、事件や問題が起きると、結構イージーに「解説」をする心理学者も少なくないのが事実。あれはどこかで取り締まれないものか。あと、心理学者ではなく、「精神分析系の医師」が答えているのも困る。理論とデータによる確証の乏しい話を、さも真理のように話すのは、背信的であるとすら思う。反対に考えると、理論さえあれば現場は説明できるというナイーブな信念が強いということか。

 ともかく,「現場の心理学者」としては,自らのスキルとノウハウをできる限り有効に提供するのが,一番の貢献かとも思う。「心理屋として,一番『心理学らしいもの』をお手元に」。心理学の名を借りたまがい物を売りつけないことが大事。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

心理学概論

 昨日が入学式で,今日はもう授業開始。心理学概論を始める。心理学という学問に初めて接する学生に,心理学者が考える「心理学」の内容をどう伝えるかが毎年のミソである。
 ともかく,心理学が「占い」や「読心術」ではないことを分かってもらうように導入することに尽きる。概論の導入は,次のように進めている。

Continue reading "心理学概論"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 22, 2006

つくば満喫記(1)

・わが師匠の退職記念の飲み会に参加。故あって前日から寝ていなかったが,昼から夜までの12時間飲み続ける。最近にしてはがんばった。
・今回は,先生がその退職に際して,60年代から90年代中葉までの「心理学研究」「教育心理学研究」「Japanese psychological research」「読書科学」のバックナンバーを譲っていただけるので,それを取りにいく事でもあった。折角だからこれで日本心理学史の研究もしてみようかと一瞬思ったが,そういう能力はないだろうな。
・知る人ぞ知るが,師匠はこの20年にわたって,認知心理学に関わる「かわら版」を毎週出しておられた。その中の「認知的体験」は一部で知られていたが,過去にどういうものがあったのか長年知りたいと思っていた。実はこれが創刊から全てストックされており,永年にわたっていらっしゃった事務補助の某さんが,今回に際して製本されたという。そして聞けば,3組あるのだという。渡りに船,さっそく1セット分けてもらうことにした。認知科学の草創期から研究の主軸として携わってきた先生の記録として,結構「歴史的遺産」なのではないかと思う。認知科学発展の個人史として事例研究くらい可能なのではないか。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

March 04, 2006

辛さ甘さの程度(再掲)

スキー帰りにカレー屋に寄った。そろそろこの記事もブログかと思う。


辛さ甘さの程度
 普段良く行くカレー屋さん(○○一番屋)。最近各商品の栄養価(カロリー)を表示するようになった。結構あるんだなあ、バクバク食べてると太るなあ、と思いながら見ていたところ。実はスパイスにも熱量があることが分かる。よくよく見てみると、結構不思議なことになっている。そのまま転載することがためらわれるので、何となく「似た感じ」で表現すると次のようなものである。


Continue reading "辛さ甘さの程度(再掲)"

| | Comments (0) | TrackBack (1)

March 03, 2006

研究職に向く人の条件

(1)好奇心としつこさ
(2)中途半端と優柔不断
 前者は「研究」に向く人格特性,後者はうーん,研究者に向く特性か?研究をやるからには,その研究に興味を持ってもらう必要はある。「カッコよさそうだから」とか「尊敬されそう」とか,「稼げそう」という理由でこの職を選ぼうとしている人,シッシッ。大体そんな良い仕事でもないです。給料も下がり気味だし。ついでに,その好奇心のためになりふりかまわない人,大歓迎かも。小さい頃,アリの行列が楽しくて,地面に腰を下ろして1時間以上見続けられた人とか。思春期の頃,性的な興味が湧いて,図書館の百科事典から人体図鑑,名画集まで漁ったような人も割と向いているかも。こういうしつこさ,というか,徹底というか。この仕事を支えるような気がする。
 しかし,この仕事,俗に言う明晰で強靭な人だと,その職まで行き着かないかもしれない。大体研究というのは「まだ分かっていないこと」を見出すためにあるので,「俺の考えではこうだ」とか,当たりの強い発想の人は運が良くない限り成功しにくい気が。1つのことに徹底せず,あれこれ思い悩んで試したり,自分とは違う意見も何となく否定しづらくて持ち続けたり。傍から見れば実に優柔不断で曖昧。一生結論に至らなくともそれを善しとできるような,当たりの弱い人は,結果的にこの業界に向いている気がする。
 大学生にとっては,授業でさまざまな知識を「正しい」と教える先生は,何と強気に物事を断定しているように見えるかもしれない。しかし,それは「既に確認された知識」だからで,先生の日常は断定できないものとの格闘だったりするのです。あるいは解決に行き着かない中途半端なアイディアばかりの中で這い回っていると言っても良い。颯爽と格好の良いイメージで研究者を目指すと,早晩辛くなります。
 ではどうすれば良いのでしょうねえ。1つは,何にでも興味をもって楽しめる「馬鹿っぽさ」をもつと良いかもしれません。あと,やりたくないことも嫌なことも,必要があれば嫌がらずやろうと思える「真面目さ」か。
 およそ「天才」と呼べる人以外には結構当てはまるような気がします。あと,本当に研究が好きでそれだけを支えに生きていける「幸福」な人もこれ以外になります。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 28, 2006

ローデータの処遇

 私の研究は実験ベースだが,実験材料は「質問紙」である。実験の参加者さんに質問紙を渡し,文章を理解してもらったり問題を解いてもらったりする。この10年,それはそれは沢山の参加者さんにお願いをしていて,その数は1000人を裕に超える。そして,私の研究は事前−事後の2回にわたるので,その質問紙は倍になる。で,これまでこれらをちゃんととっていて,その数は大きいファイルキャビネット1台分を超えている。
 このデータ,そろそろ処分していいものが増えている。正確に言えば,まだ論文になっていない最近の研究(下線作成研究)以外は,もう大丈夫かなと思われる。
 捨てるとなると気持ちがいいのだが,昨今研究の結果に疑いをかけられて,ローデータの提出を求められるようなこともあると聞く。さてどうしようか。データ自体なら,エクセルに集計されたりしてるんだけどね。
 そんなこんなで質問紙をちょっと手に取っていたら,懐かしい名前がいくつも出てくる。特に私の研究では「ターゲットで正解」の人はとても印象に残る。名前しか分からない人でも,何となく捨てるのは気がひけたりする。あと,図や例題を作ってくれた人で,その出来が良くて捨てるにしのびない人とか。あるいは美人の(かわいい)後輩の参加者さんとか。
 研究には,データまで愛がこもっている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 13, 2006

今やってます

 週末に,「心理検査法」の集中講義。臨床でもない私が何故に,と思われる御仁が多いかもしれませんが,人の少ない北陸,そんなことも言ってられません。
 改めてテキストを作ってみると,今まで以上に良く分かります。信頼性も妥当性も,投影法の微視的な部分も。ともかく概論としえは何とかなりそうな感じ。あとは実習を織り交ぜて,3日分をもたせる。何と言うか,心理学に限った話ではないけれど,ある領域の知識をマスターするには,その領域を学び,熟達した使い手になるだけではなく,やはり「ヒトに教える」ことまでやって,初めて全体がつかめるようなところがあると思う。一流のすし屋が「技なんて教えられるものじゃねえ,盗むんだ」などという話を聞くにつけ,心理学を良く分かっている「職人(臨床家,実験屋)」とは一種違った部分が生まれるように思う。他者に教えるために,改めて自己の知識を掘り起こし,さらに多くの知識を付け加えて「再構成」することによってより手堅い知識・腕になるように思われる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 08, 2006

心理学者とトリビア@第2回

 久しぶりにトリビアを見たら,「心理学者が考える,バレンタインデー当日にチョコレートをもらう確率を増やす方法」をやっていた。前回のトリビアは,少々「心理学」と呼ぶには問題があると考えたが,果たして今回はいかが。
 今回は全て女性研究者だったそうで,そんなに恋愛の研究者がいるか?と思ったが,まあ発達や社会の方だったらしい。今回のトリビアのポイントは
(1)500人の女性へのアンケートから,女性が男性にチョコレートを渡すことに対する調査がされている。
(2)少なくとも先生方の会話の中では,自己開示など「一般的」な心理学の知見を援用しているように思われた。
 そういうことで,今回はある程度期待できるのではないか,と思いながら見た。結論だけ見ると,うーん,それは余りにも期待値が低い,と思われるが,まあ間違ってはいないのではと。
 ま,当日頑張ってもダメですな。年取って思うのは,貰いたければ欲しい人とある程度のコミュニケーションをとるよう頑張ること。その際にためらいは要らないこと。そして「欲しい」ことを主張することです。ハイ。第一,誰から貰ってもうれしいというものではないだろうし。
 そういえば,「本命チョコ」なんて何年も貰ってませんな。欲しい人は何人も思いつくが,きっとくれないだろうなあ。あ,緒川たまきさんから「うそつき」って言われながら貰うのも,無理と知りつつ願っております。
 余談ながら,いつの間にか「緒川たまき関連サイト」として某所でリストアップされておりました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 06, 2006

心に残る数式

  Σ(Xi-X) 後ろのXは上にバーがつく。偏差平方和の式で,それぞれ個人の持つ何らかの値を平均値で引いたものの和である。これを標本数nで割れば分散,更に平方根をとる(ルート)で標準偏差。心理学で統計を勉強しようと思うと,これにまず出会う。一人一人の個人差を包み込み,さらに全体の特徴もつかむという,それはそれはとても人間味あふれた式。の気がする。
 まあ「博士の愛した数式」のモノマネのようなものだが,個人と全体の関係を良く表現する式で,私は大好きである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 01, 2006

エモーショナル・デザイン

 既に出版から1年が経過した,D.A.ノーマンの本。これまでの「認知工学」的な視点からガラッと変わり,「使えなくとも『楽しい・愛せる』モノ」への一大転換を果たしている。使いやすさから愛着の湧く道具へ,ノーマンはモノの心理学の情意的側面をモノにした感がある。
 考えてみれば,どういうデザインが良いのかというとき,心理学ではこれまではひたすら「使いやすさこそ力」だったように思う。これは「酔えれば酒なんて何でも良い」のと同じで,正しいが面白くない。しかし,エモーショナルの部分は複雑で,必ずしも一つの解がない。ノーマンの話も,今回は心理学的なデータの裏づけにはやや乏しい。だったら,まだ研究のネタが転がっているのかもしれない。
 こういうときは「動機づけ研究」のエッセンスをもらってくるのは良いかもしれない。たとえばテレビゲームの面白さについては,1981年にマローンという研究者が,画像の美しさや目標をクリアすることだけでなく,そのゲームに付帯する「ファンタジー」の要素,つまり自分が勝手に与える意味づけの効果を指摘している。モノにも恐らくこのファンタジーの効果はある。たとえば私が使いやすく,見た目(デザイン)の良い万年筆を持っているとしたら,単に書きやすいという満足以外に,「かっこいい万年筆なんて紳士的に見えるだろうから,きっと(ある種の)女性はこっちを振り向いてくれる...(以下略)」のような,まったく無茶な話も成立する。恐らくモノを所有するという中には,こういう要素が多分にあるような気がする。
 だったら,デザインされた物品を所有することに付帯する動機づけの効果も調査可能かもしれない。もちろん,まったく同じコンセプトの研究が公刊されていないという条件の下でだが。少しでも毛色が違えば学会発表くらいにはなるこのご時勢,意外といけるのかもしれない。研究してみたい学生さんでもいれば,手伝いますよ。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

January 11, 2006

シグマ

 教育心理学の授業が終わったところ。教育評価をやっていて,例によって例のごとく,標準偏差を出すための式を書いた。これで分かる学生は(どんな大学でも)多くはないので,「シグマってのは,高校でやったかもしれないけど,(ここでは)全部足して」くらいの意味ですからね」なんてやるのだが,今年になって,相当数の学生が,数学1,Aしかやっておらず,シグマ記号自体を見たことがない事が分かる。今年の1年生って新課程の第1期くらいだったかな?詳しい人,教えて下さい。
 こうなると,Σ記号を使わず,数式化するような記述の必要があるか【(Xi−X)...を繰り返す,のように】とも思われる。ちなみに,世の心理学科にも,本学と同じくらいの学力(いや,本学の学生は結構学力は高いから,それ以下)の学生が多い可能性もあるなあと思うが,そういうところの心理統計の演習は,どうやっているのだろう。
 個人的に「数学が得意」だった方ではないので,できる限り四則演算(平方根はいかんともしがたいが)で分かる統計を目指す向きもある。それでも,統計のセンスや考え方だけは伝えたいと思うが,数学自体にアレルギーを感じる学生は,数字を見ただけで思考停止に陥っているような学生も多い。こういう学生も含めて,途中でエボケーにならないテキストは,作れるのだろうか。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

January 06, 2006

心理学者・心理屋の適正数

 いくつかのブログ(特に臨床関係者さん,ここなど)で,資格問題も絡んでどのくらいの心理職が必要なのかという議論がされているようである。実際,正確な数の把握は難しいのだろう。
 これが教育心理学だと,それはそれで数えられるのかな,という気がする。考えられるベースラインはこれ。
 

Continue reading "心理学者・心理屋の適正数"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 02, 2005

ギロビッチ博士

大和証券のコマーシャルを見ていたら,出てきた髭を生やした先生。トーマス・ギロビッチ。確率判断のバイアスに関する世界的権威である。こんなところで見るとは,夢にも思わなかった。そうか,こんな先生なのだね。
ノーマン(D.A.),トバスキー(Tversky, A.),そしてこのギロビッチ(Girovich, T.),今から10年以上前,私が心理学を志すきっかけになった研究者である。ノーマンは言うまでもないが,ギロビッチの主著「人,この信じやすきもの」は,人間の思考を実に面白く研究した名作である。思考・認知研究を足を踏み入れたのは,このギロビッチによるところが多い。
決してメジャーな研究者かどうかは分からないが,こういうところで見られたのは楽しい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 24, 2005

今日のテレビから

・NHKで,視覚に障害を持つ人は,通常の3倍程度の速度の発話なら,まったく問題なく聞き取ることができることを発見したというニュースがでていた。これは面白い,作業記憶で言えば音韻ループの処理について,時間分解能がやたら高いということか?こういう事実が見出されると,沢山研究の可能性が出てくるのではないか。
 たとえば,実際のメモリースパンはどのくらいあるのか?とか,聞き取りと理解はできるとして,時間がたった後の記憶再生は,通常の速度と同じか,あるいは晴眼者と同じか,など。「研究の奥行きのあるネタ」とは,こういうことを指すのではないか。
・今日の緒川たまき(いや,もういいっていう気もするが)。そろそろ製作者側の演出が意図的になって,ちょっと本来の「うそつき」から離れてきたような。あと,意外と足は年齢を感じるかも。でも素敵なことは間違いないのですが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 29, 2005

ローカル学会

 北陸心理学会というところへ行く。今年は発表ネタがあるので,自信を持って赴く。

Continue reading "ローカル学会"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 27, 2005

研究のサイクル

 たまに公募の情報を見たりすると,最近はどこでも任期制を取り入れるようになったなあと思う。大学教員たるもの,研究も教育も疎かにしてはならじ,と思うので,これも時代の流れかなと思うのだが,これは気になる。
「本学は,任期制(1年おきに更新)をとっております」
 心理学に限って言えば,1年で業績を上げるのはほぼ困難である。実験なり調査なりをして,それを論文にまとめるという作業は,1年程度は裕にかかるものである。これを投稿して審査に通しても,1年はかかる。最低でも2年,一つの結果をより詳細に検討するために,追試なんてしていたら,3年そこらはかかる。そしてもう一つ,「志の高い研究」とか,「新しい世界の開拓」などというタイプの研究をするならば,失敗の可能性も高いし,先行研究の精査も大変。もう少し長いスパンをおいて研究する必要があるのではないかと。
 こうなると,採用される前に既に「ものになる研究」のストックを持って赴任しなくてはならないということになりますな。あるいは,研究になりやすい「ありきたり」なものを狙うとか。この辺が,研究の発展において微妙な足かせになっているような気がしてならない。研究費にせよ採用にせよ,3年とか5年とか割とショートなスパン以外に,単年度の予算は少ないが,10年くらいをスパンにする「のびのびした」サイクルのチョイスもあっていい気がする。
 と,一つの研究がそれなりにまとまるのに「10年」かかった私の感想。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 26, 2005

他に好きな人がいるか?

 あ,心理屋としての責任ある発言ではなく,あくまでプライベートな感想ですが。本日のトリビアの泉,心理学者5人で「自分以外に好きな人があるか確認する心理テスト」を調べていた。っていうか,某大学名誉教授のO先生,いらっしゃるようで...
 先生,連想検査でプライミングを期待するのは難しいのではないかと。でも投影法検査を主張する先生に渋い顔をなさっているのは,実験心理系の面目躍如たるところですか。
 あ,でも投影法的手法なのですね,本当に信頼性高いのかなあ?っていうか,きっとおかしい。だったらちゃんと調べてみましょうよ。じゃないと,心理学の信頼性自体が落ちてしまうの
 恐れず言えば,イカンですよ。これは。心理学たるもの,ちゃんとデータの背景を持って主張しないと。きっと来週学生に聞かれて,信頼性の不安を説明しなければならない羽目になりそうな,某教養課程教員でした。
 あ,でも今週も可愛かったです。緒川たまき。ていうか,可愛すぎる。
(と書いて,アクセスを増やそうと言う魂胆みえみえです)

| | Comments (0) | TrackBack (1)

October 19, 2005

加齢と記憶―33歳編

 ここのところ,急に記憶力が悪くなったように思う。とにかく再生(手がかりなしに自発的に思い出すこと)が難しい。「えーっと,あれだよ,あの役者さん」と,喉まで出かかっているのにでない。典型的なTOT(泣いているのではない,Tip of Tangueという「喉まで出かかっている現象」のことである)。

Continue reading "加齢と記憶―33歳編"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 15, 2005

ようやく

・教育○理学研究に論文掲載。珍しく教授=学習関係の論文が3タテ。そのトップバッター。改めて見返すと,他の論文より引用文献が多いと思う。同時に,レビュー部分と議論の部分も多い。考えてみれば,実験自体はシンプルだもんね。その結果からよくもまあここまで詰めたと,ちょっと感心。
・それからすると,博士論文の「アラ」の多いこと。ジャーナルに載ったような研究は,何とかなっているが,紀要クラスの研究は,そもそも「タコ」な結果が多い。それもひっくるめて論文にするのだから,全体の流れをきっちりとさせるには,細心の注意が必要になる。で,それがすんなり行くわけでもなく,すぐに書くのが嫌になって,こんな風にうだうだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 30, 2005

実用と教養

 心理学の世界では「臨床心理のバブルももう終焉」という言葉がちらほら聞かれだしている。実際問題として,心理学で飯を食べるポストの拡大も,この辺りが一つのぷらとー(高原)かなあという感も感じないではない。
 それにしても臨床系の大学院の志願倍率は高いというし,心理学科の倍率も同様に高い。これは10年前でも大して変わらないのだが,その頃との大きな違いは,その当時多くの学生は,それはそれとして,といいながら民間や公務員に就職していったこと。これほどまでに「もっと勉強しようとする」学生は少なかった。
 その中でちょっと気になることは,学生自体が少しずつ変わりだしているかなあということ。「心理学」に興味を持つ学生が減っているなあという感触である。

Continue reading "実用と教養"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 27, 2005

学会貧乏

 学会シーズンも一通り終わり。今年は発表もしましたし,研究者としての一応の仁義は果たしました。そしてよくお金を使いました。流石に札幌は遠かった。そして,東京は物価が高いです。11日の学会出張で,旅費から飲み代まで,月給の3分の2は飛んでしまったことを白状します。
 実際5つも6つも学会に所属すると,その費用たるや結構なもので,毎年の会費と学会の参加費で,裕に10万は超えてしまう。(こういうのは確定申告で必要経費になるのかな?)。給料取りといえども皆さんそれなりに意識しているのか,心理学会のワークショップと教育心理学会の自主シンポジウム,参加者の比率からすると,圧倒的にワークショップのほうが数が多い(今年は100を越えていた)。前者は参加費さえ納めればできるけど,後者は企画出展料で2万円。こういう細かいところが意外に影響している気がしないでもない。

 といっているそばから,もう来年っすか
日本心理学会第70回大会

 来年は福岡。実は札幌も福岡も,交通費は大して違わないかも。それに,11月ってうちの学園祭とかち合っているではありませんか。もちろん学会優先とはいえ,これは何となく残念だ。
 教育心理学会は今年と同じ日程で岡山。こちらはだいぶ近い。恐らくこちらは来年の発表も出来るのではないか。瀬戸内の魚とマスカットが待っているはず。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 12, 2005

柔軟な思考(2)@臨床編

 学会は同窓会に近いところもあり,普段会わない他の領域の友人と談論風発.比較的「理系っぽい」臨床のGさんといろいろ話す.「類推で何か療法考えなよ」ってそれは無理な相談なのだが,そのうち面白そうな話になった.

Continue reading "柔軟な思考(2)@臨床編"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

柔軟な知識,柔軟な思考@日心(1)

 ただいま日本心理学会が終わったところ.今回は鈴木先生楠見先生とのワークショップや,その他の類推研究などを聞いて,インスパイアされる.
 指定討論があの波多野先生ということもあって,思いっきりビビっていたのだが,幸いとても優しかった.はっきり言ってコメントは絶妙.そして絶対私より,よく分かっていらっしゃる(当たり前だけど).今回の成功の半分は,波多野先生にあるような気がする.

Continue reading "柔軟な知識,柔軟な思考@日心(1)"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 13, 2005

「高級な」食べ物と「そうではない」食べ物の味

 つくばで、ウェンディーズというハンバーガー店に初めて入る。マクドナルドなどに比べれば比較的高く、フレッシュネスバーガーやモスバーガーなどと同様の「ちょっと高級な」ハンバーガー。食べ応えもあり、なかなか美味しいと感じられた。とはいえ、千円を超えることは決してない。
 このようなおいしい食べ物を「B級グルメ」などといったりするようで、鮨やフレンチなどとは一線を画する、しかし「美味しさ」に違いがあるのだろうか。もし美味しいという快楽が1次元で説明できるとすれば、それは「違いがない」ことになる。 さて、「高い食べ物」の方がおいしいのだろうか?食べ物の「価格」を決める要素から考えてみたいと思う。

Continue reading "「高級な」食べ物と「そうではない」食べ物の味"

| | Comments (2) | TrackBack (0)

June 30, 2005

偉大な先生に学ぶ その2

 青山の鈴木先生が偉大な師に学ぶことについて論じていらっしゃる.ここに出てくる「すごい先生は一般に,『目線が高い』」という指摘はなるほどと思わせられる.

Continue reading "偉大な先生に学ぶ その2"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 23, 2005

本の売れ行き

出版社の営業の方が研究室を訪れる.年に1度のことであるが,ちょいと立ち話となる.

Continue reading "本の売れ行き"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 22, 2005

基礎系には無関係

であるはずの「臨床心理士」,でも大学教員をしていると,これがそうでもないらしい.

Continue reading "基礎系には無関係"

| | Comments (0) | TrackBack (1)

May 11, 2005

血液型性格診断の嘘

 どこかの大学の先生(近場だが)の本のようだが,これは全く違う話。昔ある掲示板で問題にした話だが,その掲示板自体がなくなったので,ここでもう一度出しておこうと思う。

Continue reading "血液型性格診断の嘘"

| | Comments (3) | TrackBack (0)

April 18, 2005

中華っちゅうか なんチュ−か

中華のそもそもの意味は,中華思想なる考え方からたどることが出来る。

Continue reading "中華っちゅうか なんチュ−か"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 23, 2005

ちぇっ

あまり気にしたことがなかったのだが,かなり頻繁に「舌打ち」をするらしい。そういえば,全く心当たりがないわけでもない。
普通に考えればあまり褒められたことでもないので,どうにかしようとも思うが,あまり意識しないものをコントロールするのは,実際結構難しいものである。そもそも本来の「舌打ち」とは違ったモードででているようでもある。もしストレスの代償行為に近いとしたら,それはそれでもっと厄介。ニカタは顔をしかめたり,最近は頻繁に首と肩を鳴らしたりと,そうでなくとも「チック」の既往歴がある。(ひょっとすると,最近は複合チックなのか?)ちょっとばかり観察が必要かも。
意識すると,なお行為の増加が見られるのがチック。あまり意識しないように,何とかならんもんかな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)