April 16, 2013

【本日発売】心を動かすデザインの秘密 

Blog330
 金沢美大に勤めて12年目。専門の認知心理学や教育心理学のほか,ずっと「人間の心からみたデザイン」の話をしてきました。ある時は知覚の話をし,ある時はギブソンやノーマンの力を借りながら,いろいろやってきました。デザインを作る側にとっても,デザインを受け取る側にとっても,一番中心になるのは「人間の心」なのに,それに関する書籍はなかなか増えないどころか,学問としてのデザインからデザインの当事者が離れつつある。だったら書いてみようと思い立ち,無謀とも言える試みに実務教育出版が快く支援をしてくれ,1年かけてこしらえたのが本書です。

 内容は,デザインと人間の関係,とくに人間がどんなデザインに心惹かれ,意味を見出すかについて認知研究の様々な視点から説明を試みています。それだけではなく,デザインの現場ではどんなことが起こるか,どうやってデザイナーは発想しているのかなど。これまでの学問の枠にとらわれない「デザイン」を考えるようにしました。最後に,学問としての「デザイン」をどう考えるかまで,自分なりに考えてみました。

 今回,「デザイン心理学」ではなく,思い切って「認知デザイン学」という新しい世界を提案しました。心理学でも認知科学でも感性工学でもなく,何かの学問の応用ではなく,デザイン学という世界に腰を据えて,さらにその手法として認知心理学・認知科学を応用しようというのです。デザインの当事者,デザイナーが自らの手で自らの仕事を学問として語る機会が増えるよう,「学問としてのデザイン」を強く意識しています。おそらく未来において,デザインという行為がより進化するためには,それが重要になってくると思うのです。

 学問の端っこにいる私が,乏しい力で書いたものですので,不足は重々承知です。どうぞ忌憚のない意見をいただければ有難いです。
 

 

 


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April 10, 2012

開花 〜2012年〜

Blog273

・九州では散ったとか,関東では満開とからしいが,金沢は平年より大幅遅れの開花。見越して町会の花実もいつもより一週遅れにしておいた。幸い日曜は好天らしく,昼から気持よく飲むことができよう。

・金沢美大の勤めも11年目。ついに大学&大学院を過ごした筑波暮らしよりも長くなった。あとちょうど2ヶ月で40の大台になる。不惑のまま前に突き進めるのか。

・そんな中,生まれて初めて「科学研究費補助金」なるものを交付されることが決まる。研究を初めて15年,やっとこさ研究者の端くれとして認めてもらったようでなんともありがたい話である。美術の教員を対象として,学校教員の職業適応を研究する。つまり,アーティストを目指して大学に来た人たちは,どうやって「先生」の世界に染まり,先生らしく育っていくのかという研究である。若手の教員の離職率も決して低くない昨今,このテーマはそれなりに意義のあることかと思う。こちらはまだ「つぼみ」の段階,しっかりと花開いてほしいものである。

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December 05, 2011

js-STARの奇跡!

 ウェブ上でタダで統計解析ができるソフトウェアの金字塔“Javascript-STAR”が12月から“js-STAR”として新装されている!研究を始めて15年以上,ついにSTARに願い続けていた機能が...

 ANOVAの多重比較にHSDやBonferroniがついている!!!!!!!!!!

 もう感涙。もうSPSSなんかいらん!エスクメラメーションマークいくつ付けても構わん!おまけにχ2乗検定も4次元までできるではないか!!!!!最尤法の因子分析までサポート予定というではないか!タダで何でもできる「貧者の核弾頭」Rも確かに素晴らしいが,初心者にも視覚的かつ直感的に扱いやすいSTARはやはり「初心者のカラシニコフ(扱いやすいことで有名な銃)」である。本業の合間に熱心に取り組んで下さったNappaさんこと中野さん,そしてSTARの生みの親である田中先生に心から感謝(何度か「HSDだけでもつけて下さい」とお願いしていた)。バグフィックスなどを経て息の長いサイトになることを願っている。

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July 31, 2011

教育心理学会in札幌

Blog219

・もう既に1週前になってしまうが(忙しいのである)。学会で3泊4日の札幌。美しい道庁の横にあるかでる27というところへ行ってきた。北海道は夏休み期間の観光シーズンということもあるのだろう。あちこちに観光の人がうろうろしている。シンポジウムの司会が唯一のノルマであるわたくし,半分お勉強,半分飲みである。
・ホテルはすすきの,会場までは約1.5kmだが,地下鉄までは数百m離れており,地下鉄に一駅乗ったとしても,また会場まで数百mである。バスなどの有効な交通機関が少なく,仕方なく毎日歩いた。ある意味では健康的であったといえよう。それにしても,北海道の人は車が通っていなければすかさず信号にかかわらず前に進む。おおらかな道民性をそこはかとなく感じることにする。
・この時期,大通公園は夏祭り。それぞれの区画にビール各社のビアガーデンができている。夜になればテレビ塔のライトアップなどもあり,気分はオクトーバフェスト。アサヒなどを一杯飲んだのだが,翌日会場への行きがけこんなものが
Blog220
 そうでしたね,スミマセン。ちなみにサッポロのブースが大通りの中心から一番遠い。中心からはサントリー・アサヒ・キリン,サッポロの順。どうしてかと思っていたら,バーの隣のお客に,あれはむかし北海道でのシェアが少ない順に,中心から配置したことの名残だということ。つまりその昔,北海道は圧倒的にサッポロだったということか。いまではずいぶん違っているのだろうけれど...しかし,弱いところから優遇したというのがおおらかで良いねえ。

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September 28, 2010

処女狂歌集 公刊 (著者 三流心理屋)

「マナカナ序」

 近頃,某巨大掲示板(それでも随分廃れたようだが)の心理学関係のスレッドが飛んでしまった。実は白状すると,この板の「川柳・狂歌」スレッドに,こっそり投稿を続けていたことがある。もともと歌詠みではあり,国語の先生で身につけた和歌・短歌の知識をフルに使って,心理学にまつわるエトセトラを,「全て本歌取りで」やってみようと思ったのである。当時はまだ心理学に興味のありそうな御仁も少なくはなかったらしく,それなりに褒められたりして嬉しかった。たった一度であるが,「神」呼ばわりされたのは大変光栄である。

 ちょうど初出は2002年3月,院生から大学の教員として就職した時と時を同じくしており,職に就いた開放感が何となくよく分かる。その後,スランプの時期,論文が教心に掲載されて学位をとる時期くらいまで,こっそりその時その時の気分が反映されており,いま自分で読んでも結構面白いものである。

 今回,ようやく飛んだのを機に,自分のまとめサイト,いや処女狂歌集を世に出そうと。もちろん匿名の掲示板で,自分の存在を主張するのはあまり感心しないことは心得ているので,批判が多ければ止めようかと思う。当時のコテハンは,当初初出の番号「5」,後に「三流心理屋」である。ひとつだけコテハンを間違えたものがあり,それも所収することにした。また,スレッドの中で読まれた歌への返歌となっているものもあり,前後の都合で所収したものもある。読み手である「紫しょうゆ小町」氏,「苦悩するドナ」氏には心からの感謝を(勝手に)表明するものである。

 現在,このスレッドは私の個人的な興味から,全文をコピーしてはいる。自分以外にも秀逸な歌を詠む方は何人もいて,その中でもきわめて真面目かつ詩情あふれた歌を詠んだ寺山修士氏や,狂歌の王道たる諧謔を存分に発揮した紫しょうゆ小町氏は特に出色だと思う。そのうち希望があれば,「拾遺集」として選歌し,まとめサイトにしようかと思うくらいである。

 以上,漢字仮名交じりの「マナカナ序」として皆様に贈るものである。

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March 24, 2010

私はどうしたんだ? Hagarty

 今更わが恥をさらすのも何だが,研究者としては恐ろしく英語力がない。したがって海外の文献も,これまでコツコツ逐語訳をしてきた。今読んでいる論文も,毎日1ページずつである。
 ところが今,Hagarty, Canhan & Fabrikant(2010)をちらと目を通す。不思議なことに1ページすらすらと読めてしまった。内容は視覚的表示が理解に与える効果に関するもので,そもそも知っている話なのだが,それにしても辞書も要らない。いきなり自分に何が起こっているかよく分からない。
 このHagartyという人は,図の分かりやすさについて研究している人だから,ひょっとすると文自体が大変分かりやすい人なのかも知れない。それを確認すべく,他の本をいまちょっと目を通す。確かに辞書が要るところもあるが,どうも大意をとるのに問題はないらしい。
 そうなると,いつの間にか「日本語に変換する」ことに苦労していたわけで,大意をとるだけなら読めばよいのか?ということになる。いや,それでいいのか?

 あまりにも長くにわたる話のために,今混乱中。いや,こういうことをブログに書いてしまうだけで,相当に混乱中。

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March 15, 2010

まだまだつくば滞在中

・図書館で論文漁り。2009年分の類推関係の論文とその他認知・教育系を中心に。普段論文漁りをするときは、タイトルとオーサーを見て、気になったものはアブストラクトと引用文献のチェックという順序でコピーして帰るか否かを決める。類推関係の研究は古くからGentnerとHolyoakが双璧であるが、今年の分をチェックしながら明らかにGentnerの引用主はは概念学習や処理モデルのような方向へ、Holyoak一派は教育系に発展しているように思われる。もともとの課題を考えても、語り口を考えても全く想像の行かない話ではないが、90年代あれほど情報処理モデルでしのぎを削っていたことからすると感慨深い。やはり構造整列理論というのはそれなりに威力のあったモデルかもと思う。また、Holyoakは知識の表現や獲得といった問題の中に、より高次(意味とか、理解とか)の要素が重要だったのではないかと思う。
 80年代の隆盛からもう20年以上がたつ。色々世界が動いたのかなと思う。

・夕方に「たがみ酒店」へ。茨城県南・県西の銘酒をいくつか買って宅急便で送ることにした。これでいつもと違う酒を当分楽しむことができよう。出張のちょっとした「余禄」。

・Twitterでいろいろやり取りしながら、大学院時代の後輩とちょっとだけお茶。メールのような即時性、空間を超えて時間を共有する共時性、それでもメールのようにコミュニケーションの対象を強く絞らない制約度の緩さ。これらが上手いこと活かされて巡りあった。面白い現象。

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January 16, 2010

サポート,リテラシー,スキャフォールディング(かなりマニア向け)

 昨日の取扱説明書話から派生。新しい電化製品を使うとか,新築の建造物に引っ越すなどといった,「認知的人工物」に対する適応を考える場合,多くの人にとってそれに慣れるのには人間の情報処理という面でコストがかかるものである。これが,高齢者などよりサポートを必要とする対象ならばなおさらである。荷方(2009)はこういう情報処理に対する能力を「リテラシー」というこれまでの考え方の中で同様に扱うことができると考えている。そして,アクセスする媒体は資源(リソース)として取り扱うことができる。リソースは道具的なリソース以外,人的なリソース,情報リソースなど色々考えることができるだろう。

 取扱説明書は新たな環境に適応するための「道具」であるが,取扱説明書自体上手く読み取るための「リテラシー」が必要であり,いわゆる初心者や情報弱者はそもそもこのリテラシーが不十分であるため,結果として取扱説明書は使用されないことになる。このジレンマは問題で,この解決のためには,さらに取扱説明書を分かりやすくするか,ないしは他の情報取り込み戦略(Strategy)を採用するかということになる。
 この際,他者からのサポートは比較的有効であることはしばしば知られている。知識も含め,多くのリソースは他者によって提供されることが多い。そして,他者からのサポートは,それを受ける側の特性によってしばしば調整(カスタマイズ)された形で提供される。近年の状況論的認知研究では,このようなサポートをスキャフォールディング(足場かけ)という概念で説明していることが多い。

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August 29, 2009

大量購入

 学会のもう1つのイベントといえば,出展している書店さんの本を割引で購入することだったりする。決して安くはなこい専門書を割引で買うことができ,しかも多くは大学まで届けてくれる。勢いもつこういうのが人情だ。
 今回も数冊購入。値段の張るところは錯視関係のもの。ついに北岡先生は「画集」が出るまでになったか。すばらしい。で買い求めたのはいいが,これは出版社の扱いではなく販売店さんの出展らしく,割引なし。がっかり。懇意にしている出版社さんのブースでも購入したが,こちらはお届けは三冊から。だったら考えたよ。重い本を鞄に入れてあちこち動き回る。ふう。

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August 28, 2009

学会in京都

 立命館で学会。一日遅れて参加。いろいろ考えていることに筋が見えた。あとは気の利いた実験を考え付くだけなのだが,これが大変な作業だったりする。何とかなるかなあ。
 旧知に会うも,かわり無くてなにより。

 いつの間にか高瀬川沿いの天下一品が見当たらなくなっていたり,その他もろもろ変わっていたり。バーで知り合った人と明け方近くまで飲んだり,いつもながらいつも通りの学会模様。

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