July 03, 2009

The Brecker Brothers : Straphangin'

★★★★☆(ここぞ元気に行きたい人に)

 ブレッカー・ブラザースといえばセルフ・タイトルの一枚目で世間の度肝を抜いたバンドだが、おそらくそれと同じくらいの度肝を抜く、あるいはそれ以上のクオリティを誇る一枚。
 まあお聴きなせえ。タイトル・チューンの 'Straphangin'’も悪くないが、とりあえずa'Bathsheba’で繰り広げられるソロの応酬でまずカラダがノリ出すに違いない。そして'Not Ethiopia’の怒涛のようなフレーズで圧倒されるはず。70年代後半以降21世紀まで、サックスのマイケルが繰り出すこの一連のフレーズで、ジャズをはじめとする世界のテナーは牽引されたといっても過言ではなかろう。あちこちで聴くことができるマーカス・ミラーの「冷静と情熱の間」ベースプレイも要チェックである。
 ダルい夏の朝、これで一発活を入れて仕事に向かうのはいかが?

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January 27, 2009

Cedar Walton : Midnight Waltz

★★★★☆(Jazzの好きな幅広い層に)
 先日触れたシダー・ウォルトンの比較的最近の作品。既に齢70を超えるが,彼のプレイは年代やスタイルを越えて常にクールかつ独特であり,むしろそのぶれない音が一層光をもちだしているように思われる。彼のつくる曲はきれいなコード進行の中にところどころモードや転調などスリリングな展開の混じるもの。これがまた現代にもすんなりと受け入れられる。
 後半にこれでもかと畳みかけられる名曲「Bolivia」「雨月」もさることながら,前半にある「Turquois」も聴きもの。初期の作品「Turquois Twice」のアップテンポから,今回はミディアムのワルツになったが,それでもぐっと引き込まれる。また,サイドメンとしてドラムをたたくいぶし銀の巨匠ジミー・コブも特筆。
 家のソファーで,バーのカウンターで,コーヒーやお酒片手に寛いだ時間を過ごすなら,どこでもピッタリの一枚。ぜひぜひおすすめ。
 

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January 13, 2009

シダー・ウォルトンとボブ・ミンツァー

 一流以上の力量を持ちながら,なぜかちょっとだけ陰に隠れるジャズ・プレイヤーといえば思い出すのがこの二人。私はとても大好きなのであるが,リーダー作は実力に比べて少ない(と思っている)。
 シダーといえば,アートブレイキーの「モザイク」とか,「ウゲツ(Fantasy in D)とか,イースタン・リベリオンの「ボリビア」とか,小粋な名曲の作者である。おまけに分かりやすいプレイでも群を抜く。何というか,悪口を言えば圧倒的な技術はないというか。シンプルなフレーズから始まって途中で盛り上がる。そのうち単純なフレーズの繰り返しで盛り上がりを持続させ,最後はブロックコードでおしまい,みたいな彼らしい組み立てがある。これが大学でジャズをやっている学生にとって見れば,「何となく真似出来る」ものにも映る(秋吉敏子やトミー・フラナガンにもこの気がある)。ひょっとするとシダーの人気は,リスナーと言うよりアマチュアプレイヤーに支えられているのか?といった気になる。幸いまだ健康で存命である。ぜひ大事にしておきたい。
 これまでも何度か紹介しているので,今回は基本のこれを勧めたい。「ターコイズ・トゥワイス」が名曲である。

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April 21, 2008

オーケストラ・アンサンブル・金沢 小曽根真コンサート

 4/20日 石川県立音楽堂 指揮 井上道義

 ここのところ金沢に来れば外さずに聴きに行く小曽根真。今回はオーケストラでラプソディ・イン・ブルーを演るという。そもそもラプソディ・イン・ブルーがたまらなく好きなワタクシ。いそいそと参りました。地方オケとしては出色の音色とアンサンブルを誇るOEK。さて演奏のほどは。

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April 05, 2008

Chick Corea; Five Trio Box & Duet

 近頃チック・コリアが忙しい。2007年から2008年にかけて立て続けにリリースラッシュである。ここ10年ほどのチックは,言っちゃ何だがノリが悪かった。相変わらずのチック節だが,何というか小難しいというか,勢いとドライブ感に欠けて気がしないではなかった。
 それが今回,勢いのあった時代のメンツや,当代勢いのある若手に押されて,昔のチックを取り戻しつつあるように思う。
 Five Trio Boxは5チームのセッション(とスペシャルトラック)でできている。まずはDisc 6のスペシャルトラックから聴いて欲しい。“Spain”は言うにおよばず,“50% Manteca”や“Gloria's Step”など,キレのいいプレイが目白押し。チックが弾くMantecaは,多分これが最初かも。心も体も揺れるプレイに満足すること間違いなし。


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January 16, 2008

Super Trio Corea/Gadd/McBride

☆☆☆★★(チックファンには一聴の価値有り)
 チック・コリアの「スペイン」といえば,泣く子も黙る名曲であるが,90年代に入ってチックが新しいアレンジを採用して以来,長いこと「小難しいスペイン」となっていた。それはそれでお好きな人にはたまらないのだが,何というか昔のアレがねえ...という御仁も少なくはないだろう。
 それを払拭するのがこのアルバム,正統派ジャズにはちょっと物足りないガッドのドラムも,ここではなかなか冴え渡る。どの曲もチックの十八番,こなれた手練れの演奏が楽しめる。いかんせん物足りないのは,やはりチックの「キレ」に乏しく,最近のチックらしいフレーズが押し出されること。そして何といっても「スペイン」が途中でフェード・アウトになってしまうこと。ちなみに「ウィンドウズ」や「シシリー」でも,情熱と抑制の間のきわどいところでのなかなかのプレイが聴ける。

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October 02, 2006

TO CHI KA

★★★★☆(日本を代表する名アルバム)
 日本のフュージョン界に大きな足跡を残す渡辺香津美,リリースから20年以上たっても色褪せない作品がこれ。
 なんといっても曲がいい,メンツがいい。香津美の代表作ユニコーン,コクモアイランド,などがここにそろっている。その中でもオススメは「SAYONARA」,そして「Manhattan Flu Dance」。前者はこれ以上美しく,かつ人々に明るい希望を持たせる「さよなら」があるだろうかというバラード。メロディも,ソロの美しさも格別。後者はノリノリのナンバー,香津美のプレイもさることながら,マイケル・ブレッカーの珍しくテクニカルと言うよりブロウ主体のソロが聴ける。はっきり言って香津美はMOBO時代のナンバーだけで食べていける,あるいは食べていっているのではないかと思わせる。はっきり言って,「買い」です。

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June 25, 2006

レズギンカ中毒 ―ハチャトゥリアンを讃えて―

 N響アワーを見ていたら,打楽器をフィーチャーした曲について特集をしていた。で,最後に出てきたのがハチャトゥリアン。お馴染みの剣の舞とレズギンカをやっていた。カッコいいよね,レズギンカ。ニカタ一押しの小曲である。
 中学何年のときだったか,生まれて初めて友人といったコンサートが,エルムレル指揮のソビエト国立交響楽団である(ハウス・ザ・カリーのCMで,ズヴェトラーノフ指揮が有名)。中村紘子がチャイコフスキーのコンチェルトをやり,ショスタコービチの革命が演目だったのだが,なぜかコンチェルトはピアノのカチャンカチャンとした響きだけが印象に残っており,思わず2楽章で寝てしまったことを覚えている。
 で,アンコールに出てきたのがこれ。とにかくブッ飛びましたよ。激しい,強い,速いの3拍子。スネアの強震が印象的。たちまち虜になったのだが,いかんせん曲がわからなかった。高校に入ってたまたまブラスバンドが練習しており,初めて曲が何であるか知った次第。残念ながら1年生で演奏できなかったが,人生のお気に入りとなった。お勧めは作曲者本人が指揮をしているウィーン・フィル版(キング・レコード)とカヒッゼ版(ビクター)。
 そういえば,レズギンカはスネアが核なのだが,演奏によってスネアにリムショットがある演奏とない演奏がある。あれはどういう訳ですかね。原典(キーロフ劇場版)とボリショイ劇場版の違いか何かでしょうか。もちろんリムショット付が圧巻。「ダンタタカタ,パンタタカタ,~ツッパンツパン」とくるのがカッコいいぞ。
 残念ながら手に入れにくいらしく,今回はディスクへのリンクはなしで。

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May 11, 2006

Michel Camiro:Michel Camiro

★★★★☆(ラテンで突き抜けたい方におススメ,ピアノ弾きはわが身を振り返って絶望すること必至)
 リリースから20年。世界最高の「勢い馬鹿テク」ピアニストミシェル・カミロの名作である。 
 始めっからぶっ倒れます。‘Suite Sandrine Part 1’ではこれ以上にない正確無比な指の動き,そして指が強い。これほど精巧な演奏は機械でないとないのではないかという粒立ちである。極めつけはコンガとのデュオ。‘Blue Bossa’。リズム1つを相手にして,とにかく良くできた,そしてダイナミックなフレーズを繰り出している。次第にその興奮が高まり,途中からちょっとキレたプレイに移行するときにはきっと引き込まれるはず。これだけでもカッコいいのに,最後の‘Caribe’まで勢いで押し切るところ,どこまでその勢いが続くのだろうと思ったが,20年経った今も全く年をとらない,枯れないプレイである。

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May 08, 2006

Standard Mind:M's マサちゃんズ Feat.佐山 雅弘

★★★★☆(ピアノトリオの教科書としておススメ)
 日本中堅ジャズピアニストのフラッグシップの1人,佐山雅弘の近作。全編スタンダード。
 何せ音が綺麗,そして勢いあるナンバーからドルチェなナンバーまで自在に弾き分けるオールラウンドプレイ。一曲一曲聴いていたら,ひょっとすると1人の演奏とは思えないかも。聴いていてとても勉強になるものである。その中でもお勧めは,一曲目の‘Cheek to cheek’とと10曲目の‘Spain’。どちらもソロの目くるめく躍動感に引き込まれる。1つ1つのフレーズがよくできている。自分で弾けるものならコピーしたいくらいの演奏。また11曲目の‘Peri's scope’は繊細なテーマが秀逸。ひょっとすると日本のジャズは今現在,世界で一番「正統派」なのではないかと思わせる1枚である。

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March 16, 2006

チョン・ミュンフン指揮 ロンドン交響楽団

 先週に引き続きコンサート・レビュー。LSOがチョン・ミュンフンの手によってマーラーの5番をするという。それは行かなくては,でバルコニーの良い席を取ってみた。
 最初はショパンの協奏曲1番(pf横山幸雄),実に厚みのあるストリングスで,しっかり鳴らしきっている感じ。ピアノの方も繊細で,なおかつ歌っているなあという印象を感じる。強いて残念なのは,のびのび歌っているがゆえに,オケとのアンサンブルにおいて所々齟齬がある点。あと県立音楽堂は少々音が溶け合ってしまうのか,ピアノにオケの音が覆いかぶさってしまう点か。
 で,本命の5番。とにかく「良く鳴って」いた。トゥッティの圧力感は流石。比較的派手さも音のエッジ感もある現代的な音のオケである。マーラーの交響曲は全体として目まぐるしく各楽器の交代があるが,これをミュンフンは実にスムーズに交通整理していた。特に2楽章・3楽章を見て聴いていると,これほどまでに緻密な構造をしていたのかと驚かされる。ぐいぐい引き込まれた。
 ホルンとトランペットのソロもお疲れ様。1楽章はやや硬さが残り,5楽章は流石に疲労が見え,ソリストが少しずつ当てきれなかったのはご愛嬌。かなりの年齢と見える1st.Tpが真っ赤な顔で吹いていたのが印象的だった。これだけで十分に満足,良いコンサートだったと噛みしめながら,一杯傾けた一日だった。

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March 10, 2006

小曽根真 No Name Horses

 今回はディスクレビューではなく,コンサートレビュー。9日に県立音楽堂でのライブを見てきました。ピアノ&ビッグバンドといえば秋吉敏子などがおなじみですが,さて小曽根バンドはいかがなものか。面子はハイノートの老舗エリック宮城や木幡光邦,サックスの池田篤など,否がおうにも「上手そう」です。
 全体的に曲はテクニカル,ブラス・セクションはゴージャスなサウンドに仕上がっていました。ひょっとすると「頭のほうが忙しくなるほど難しい」とも思われましたが,割と分かりやすいです。流石に小曽根さんのピアノは素晴らしかった。音の粒立ちがとてもいい。打鍵の強さが格別。後ろの女の子が「あそこまで来るとスネアだよね」と言っていたのも言いえて妙かもしれません。目の前で見ることができてとても満足。
 ベースの中村さんの楽しそうなベース,そして正確なテクニック。ドラムの高橋さんの厚手の音も大変素晴らしかった。機会があれば別の演奏(トリオとか)聞いてみたい。またトロンボーンの片岡さんの人柄の分かるプレイも個人的な「ヒット」でした。天才,中山英二郎さんとの掛け合い,‘T FOR 2’は聴きモノです。
 アルバムをお買い上げの方には15人のサイン会。久しぶりにサインをもらいました。昔チック・コリアにもらった時はシステムノートに,辛島文雄にもらった時は楽譜のファイル(Giant Stepsのコピー譜のところに)。全員のサインを小さなCDに書いてもらうのもなあと思い,小曽根さんに書いてもらいました。

Yシャツの背中に!!

 驚いていらっしゃいました。以前「背中に書いたことがある」らしい中山さんの指南を受けながら,小曽根さん快く書いてくださいました。ありがとうございました。ピアノ上達のお守りに永久保存させていただきます。

 今‘Three Wishes’を聞きながら書いてます。かっこいいです。是非息の長いバンドになることを願ってます。

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February 07, 2006

ART BLAKEY & JAZZ MESSENGERS: FEATURING WYNTON MARSALIS '80

★★★★☆(元気のいいジャズが好きな人にはおススメ)
 アート・ブレーキー晩年のライブ録音。当時脚光を浴びつつあった超優秀若手のウィントン・マルサリスをフィーチャーしたという,まあセールス的は「悪くない」組み合わせだが,それだけで済まないのかこのアルバムのいいところ。
 力入ってますよ。やっぱり彼は「超高速」の人です。チュニジアもモザイクも入ってませんが,やっぱり速い曲は力強い。1枚目の‘Gipsey’や2枚目の‘Eta’でのアンサンブルは聴きモノです。曲もなかなか演奏のし甲斐のあるカッコいいナンバーが多く‘Wheel within a wheel’や‘Time will tell’あたりはもっとスタンダードになっていいと思われる秀曲。極めつけは何と言っても‘Free for all’。これが表題となる作品もあるが,それよりも更によくできたプレイを聴くことができる。
 ウィントンの名前ばかりが目立つアルバムだが,ボビー・ワトソンやビル・ピアースもいい演奏をしているし,ここで登場するジェームス・ウィリアムスのピアノは特筆したい。上に紹介した曲の中でも,非常に凝った内容のソロが聴ける。最近ではあまり聞かないピアニストだが,技巧派のピアニスト(要は良く指の動く人)はトライしてみる価値があるかも。私には到底無理。

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February 02, 2006

Third Set:Cedar Walton Quartet

★★★☆☆(プレイヤーの職人芸を理解できるプレイヤーにお勧めする)
 シダー・ウォルトン,アート・ブレイキー好きなら1度は耳にするピアニストであり,数々の名曲を作る名コンポーザーとして知られる彼の70年代の作品である。3枚のライブ版の一つで,ドラムはビリー・ヒギンズ,そしてサックスはあのボブ・バーグである。
 聴きどころはやはりウォルトンの曲である‘Bolivia’と‘Fantasy in D(Ugetsu)’。どちらも彼のマスター・ピースに数えていいと思われる曲で,前者はボブ・バーグのケレン味のないフレーズの数々に魅了されたし。あとウォルトンの彼らしいソロの構成も聴きどころ。初めとつとつと,中で速めのフレーズ,最後は繰り返しモノやブロック・コードといった彼のお家芸の勉強になる。ジャズ研でピアノを学ぶ学生にはいい手本の一つとなろう。後者はあの「ウゲツ」。こちらも美しくもプレイする気満々のプレイが聴ける。
 ビ・バップやハード・バップと言った「ジャズ研の基本」が1通りできるようになって,「もうちょっと聴き応えのある曲をレパートリーに」といった人のお勉強には最適。

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September 27, 2005

Chick Corea & Gary Burton:In Concert

★★★★☆(ちょい難しいが,ハマれば最高)
 最愛のチック先生。しばしば登場するゲイリー・バートンとのデュオの中の最高傑作である。
 一曲目の‘Senor Mouse’でぶっ飛びます。ビブラフォンでこんな事ができるのか?と耳を疑うまでの超絶技巧。同様に力の入ったプレイをしているチックすら霞むほどである。こんなの最初からやられたらたまりません。高校のときに初めて聴いて以来,10年ほど他の曲の良さが分からなかったほど,この曲のインパクトは大です。
 実は他にも名曲たくさん。‘Crystal Silence’では本当にクリスタルな透明感と硬質感のある,でも穏やかな光の差し込むような音を聴くことができる。この辺は録音に定評あるECMの面目躍如たるところ。‘Tweak’も最初の一曲がなければ,間違いなくタイトル曲になりうる出色の出来。
 緻密な音作りと鋼のような指・腕があってこその作品。初冬にさしかかるであろうチューリヒで,キーンと冴えた音が響いたことだろう。聴き甲斐のある一枚である。

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July 27, 2005

Fly with the Wind:McCoy Tyner

★★★★☆(とにかく1曲目だけは聴いて!)
 ペンタトニックの猛者(今勝手に決めた),マッコイ・タイナーの渾身の名作.とはいえいわゆるジャズではない,ストリングスの入った「ちょっとフュージョン寄り」のアルバムである.ドラムはビリー・コブハム,ベースはロン・カーターというから,リズム隊の充実は確実である.
 何より表題作を聴いて欲しい.70年代,ジャズ喫茶ではこのリクエストが絶えなかったという不世出の名曲.長めのリリカルなイントロが何のためにあったのか,というほど気合の入った本編.とにかく熱い,そしてこれでもかという程,音の隙間を埋め尽くすマッコイとコブハムの音数.そして,スリリングなペンタトニック一発のフレージングは涙モノ.決して穏健とはいえないはずのヒューバート・ロウズのフルートソロも,とても優しく聞こえてしまうからそのエネルギーは計り知れない.
 まあとにかく聴いてください.他の曲もなかなか聴き甲斐があります.

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June 02, 2005

Return of Brecker Brothers:Brecker Brothers

★★★★☆(いわゆるフュージョンファンよりややジャズ・ロック寄りのファンにおすすめ)
 70年代に一世を風靡したブレッカー・ブラザーズ。いずれ昔の名盤にも触れねばならないだろうが、今回はまずこの一枚。解散後、明らかに力をつけて帰ってきた二人の集大成である。
 曲で言えば、1曲目のSong for Barry と4曲目のAbove and Belowがオススメ。特に4曲目は、どこをどう数えたらそうなるという拍子感覚のイントロから、これでもかという程のソロの応酬まで、まさに「お腹いっぱい」の一曲である。
 96年の夏、これをサルのように聴いていたが、今でもその感動は早々失われるものではない。ただし、最後の2曲ほど、少しだけ似たような雰囲気の曲でちょっと間延びする。そこがちょっと退屈なので、その恨み星で今回は星4つです。

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May 15, 2005

Street Life:The Crusaders

★★★★☆(聴いて損はないフュージョンアルバム)

 クルーセイダースといえば,「オラは死んじまっただ」のフォーク〜ではなく,こちらの方がきっと世界的。有名なピアニスト,ジョー・サンプルといえばこのバンドである。
 表題の曲があまりにも有名。10分をこえる大曲で,ストリングスもブラス・セクションもボーカルも入る豪華な作り。ドライブでもお酒でも,真夜中のムードを盛り上げるなら是非!という曲である。3曲目の「Rodeo Drive」も秀逸。ロデオといっても,これはビバリーヒルズの有名なお買い物通りのドライブのこと。その昔,ビートたけしのオールナイト・ニッポンの挿入曲としても使われており,懐かしく思う人もいるはず(多分もう40代近いだろうが)。
 メロディーラインはとても美しいが,プレイは結構骨がある。ジョー・サンプルのピアノは美しいことで知られているが,よく聴けば打鍵などかなり「ゴキゴキ」した強さを感じる。この辺は黒人らしいプレイであり,あたや侮るべからずである。ウィルトン・フェルダーのサックスも良く吹き切っており楽しいし,なんといっても彼はベースを弾いていたりするマルチ・プレイヤーでもある。ただしところどころに出てくる助っ人ベース,アルフォンソ・ジョンソンのグルーブ感はカッコいいので,ぜひロデオ・ドライブとナイト・フェイセズを聴くべし。

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May 10, 2005

ロング・イエロー・ロード:秋吉敏子=ルー・タバキン ビッグバンド

★★★☆☆(ビッグバンドファン,正統派ジャズファンにおすすめ)
 日本を代表するジャズピアニスト,秋吉敏子とそのダンナルー・タバキン率いるビッグバンドの代表作。なんと言っても表題作である「黄色い長い道」が有名である。カウント・ベイシーやデューク・エリントンのような古典的ビッグバンドに比べ,アンサンブルに重層感があり,手も込んでいる。またソロもより「ジャズらしい」。明らかに「書き譜」ではないソロは,モダン・ジャズを志向するリスナーにもおススメ。
 長くスリリングなソロ回しで引き込む「Opus No.Zero」も聴き所であり,またユニゾン続きでバンドのキッチリとした技術が求められる「Quadrille Anyone?」も,技巧に興味の向きやすい若いバンドマンにとっては良い教科書となるだろう。聴いただけでは派手さはないが,高音のユニゾンを木管と金管でビシッと決めるのは難しいぞ。
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April 27, 2005

GRP ALL-STAR BIG BAND

★★★★★(すべての人に聴いて欲しい,おそらく不世出の名作)
 発売は1992年,80〜90年代のジャズ・フュージョンシーンを代表するレーベルのミュージシャンたちが,ジャズの名曲をビッグバンドでやろうという意欲作。とにかく有名なミュージシャンが多数参加しているのも魅力。
 一発目「Airgin」からその勢いは全開。アーニー・ワッツのシビれるソロが聴けます。その後も続々有名ミュージシャンの競演。後半部の「Manteca」あたりでは,超絶技巧ハイノートヒッター,アルトゥーロ・サンドバールと,大人気の禿げ,ランディー・ブレッカーのこれ以上にないバトルが聴かれたりして。ビッグバンドに少し乗れない人でも,このアルバム,きっとイケます。
 ちなみに,日本でのライブの模様は,昔衛星放送で1時間半のスペシャルとして放映されていたのですが,あれ,DVDにならないものか。「Cherokee」は確実に最高です。

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Three Quartets :Chick Corea

★★★☆☆(熱いジャズを聴く人・チックやハービー・ハンコックが好きな人におススめ)
 チック・コリア(p) マイケル・ブレッカー(ts) エディ・ゴメス(b) スティーブ・ガッド(ds)と聞けば,どちらかというとフュージョン系のにおいがするが,これはれっきとしたアコースティックアルバム,必ずしも4ビートのリズムに彩られているわけではないが,実に「ジャズ」である。
 このアルバムの凄いところは,「未発表収録」がカッコイイこと。通常LPの再発売であるCDカットは,「ボツになった」曲を再収録して間に合わせることが多いが,このアルバムのエクストラはもともと収録されたものよりもヘタをするとカッコイイかも知れない。特に7曲目の「Slippery When Wet」のスリリング感は,良くぞチック,良くぞブレッカーといったところ。こんな曲をボツにされたらファンはたまらない。
 もちろん本編も良いです。特に1曲目の「Quartet No.1」は,チックの十八番である緻密なコードワークと,きわどくもメロディアスなフレーズが見もの。ブレッカーのクールな吹きっぷりも見事。
 カモメや羽根のチックから,さらにチックの魅力へ進みたい人にはお奨めのアルバムである。
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