カツ丼学概論 第8講 「カツ丼の政治学 ―議会制民主主義の本質―」
さて諸君,世間では政権交代がおこり,大きな変化が起こっているようだが,今日はカツ丼における政治学的構造というものについて少し話をしておこう。もちろん,ここでは取り扱っているのは「卵とじカツ丼」のことである。
カツ丼をカツ丼たらしめているものは,他ならない「トンカツ」の存在である。これがなければカツ丼ではなく,ただの玉子丼と認識されても致し方ない。しかしカツ丼において重要なのは,果たしてカツなのであろうか。第5講の美学的考察でもふれたように,カツ丼はカツを始めとして玉子,つゆ,玉ねぎなどがバランスよく調和していなければならないという「ゲシュタルト的調和」によるところが大きいだろう。考えてみて欲しい,世の中でカツ丼の良し悪しを論じるとき,多くの人々はカツを語るだろうか?もちろんカツも問題となるだろうが,多くはつゆだくか否かのようなつゆの問題,玉子のとじられ方の問題,量が多いかどうかといったボリュームの問題,はては上に載るのが三つ葉か海苔かといった補助材料の問題まで幅広く,むしろカツ自体の問題など決して大きくないではないか。揚がり方は大概似たようなものであり(それがつゆによってさくっとしているか否かは煮方の問題である),厚さはむしろ薄くても良いとされ,ブランド豚の使用にいたってはほとんど語られないほどである。

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